【誰だって、人に知られたくない秘密がある。】
「過ぎてみれば、全部、どうってことなかった」
こんなに心を震わす小説が、他にあるだろうかーー?
孤独、死、性愛と情熱、そして嫉妬……
人に悟られたくない、繊細な心の機微を見事に描く極上の短編小説集。
【解説・小川洋子】
老いを感じながら山裾で暮らす童話作家の72歳の雪代。庭を訪れた植木屋の若者から、還暦過ぎの風俗嬢への一途な恋心を聞き嫉妬するが…(表題作)。自分の夫と一緒に死んだ女に、線香をあげる妻が放つ不穏な空気(「喪中の客」)。
誰しも運命に逆らえず秘密を抱えて生きていく。
短編の名手・小池真理子が放つ、至高の7編。
〈あの人に抱いた、言葉にできない想い――〉
・いつものように彼女に請われても、彼は化粧をしようとしなかった。(「アネモネ」)
・ある日、朽ち果てて使われなくなった玄関のブザーが鳴った…(「喪中」の客)
・若かったおばの白いふくらはぎと甘ったるい声が、彼女の遺骨を抱いて蘇る(「ミソサザイ」)
・40歳の時に恋をした相手は、大学生。旅館で親子と間違われて…(「微笑み」)