時代を超えて愛される正岡子規の俳句。その感性は、中川四明や高濱虚子、夏目漱石といった同時代の文化人との交流を通して形成されたものだった。
本書では子規を支えた俳人・中川四明に焦点を当てて、その軌跡を追う。
中川四明は、学校教員を経て新聞社に勤務するかたわら、俳人としても活躍。『俳諧美学』など俳句に関する書籍や雑誌を多数手がけ、近代俳句の発展に貢献した。
正岡子規にとっては新聞『日本』の先輩記者に当たり、記者職を離れた後も俳句をはじめとした文学・美学について互いに影響を与え合う関係を構築している。
俳句界に革新を起こした傑物・正岡子規の美学が培われた過程を、同志・中川四明という新しい視点で読み直す子規研究の必読書。
【目 次】
序 谷地快一
第一部子規を支える中川四明
第一章正岡子規と中川四明
『日本』『小日本』紙上の交流
第二章四明宛て子規書簡とその背景
第三章二種の『種ふくべ』考
子規・四明と大釜菰堂
第四章小自在庵四明著『俳諧美学』の考察
芭蕉句における美の諸相
第五章虚子の俳壇復帰と中川四明
「明治俳壇の第二期を迎ふ」の意義
第二部子規の周辺 漱石・鴎外・虚子
第一章漱石の執筆制限と『ホトトギス』
虚子との交流を通して
第二章子規の『俳諧大要』執筆の動機
鴎外との出会いをめぐってー
第三章明治三十年前後に於ける鴎外の俳句作風
子規と鴎外の草花
第三部中川四明年譜考証
子規との交流を中心に
あとがき
初出一覧