まえがき
Ⅰ 中国経済は成功するか
第一章 不透明な過渡期を漂う中国
第二章 虚妄の中国経済大国論
第三章 海の中国 陸の中国
第四章 自立に向かう台湾
第五章 危機の中の朝鮮半島
1 韓国経済危機
2 崩落する北朝鮮経済
第六章 アジア成長神話は終わっていない
あとがき
Ⅱ 社会主義市場経済の中国
第一章 プラグマティズムに覚醒する中国
1 市場経済をやりなおそう──「社会主義初級段階」論の登場
2 なにが中国を狂わせてきたのか──「新民主主義」への回帰
3 「社会主義市場経済」論──論理蒙昧のなかのプラグマティズム
第二章 鄧小平思想の核心
1 生産力主義──「貧困は社会主義ではない」
2 即物主義──不平等容認の社会主義者
3 実験主義──「まちがったと思えば、なおせばいい」
第三章 現代中国における社会主義
1 共産党一党支配体制の堅持──政治システムとしての社会主義
2 「四つの基本原則」──もうひとつの鄧小平思想
3 天安門事件と改革・開放の全面加速──「二点論」の中国
第四章 農業生産力の解放と市場経済化
1 下からの改革──中国の成功とロシアの失敗
2 新農業政策の勝利──価格自由化と個人農の創出
3 手さぐりの実験──現実追認のリアリズム
第五章 郷鎮企業の登場
1 「異軍突起」──農村構造多様化の原動力
2 農村にうまれた余剰──郷鎮企業生成のメカニズム
3 中国市場経済化の特異性──自然経済から市場経済へ
第六章 「放権譲利」と対外開放
1 特殊政策・弾力措置──「条と塊のふたつを結合させ、後者を主とする」
2 グレイター・ホンコン──華南経済の中核
3 全方位開放体制へ──中国の対外開放は後退不能である
第七章 改革のハードコアはなにか
1 アナーキーのなかの市場経済化──農村、華南沿海部
2 国有企業の改革を求める──ミクロ改革からマクロ改革へ
3 経済的緊張──ボトルネックと価格改革
第八章 難渋する国有企業改革
1 経営メカニズム転換条例──「優勝劣敗」を進めよ
2 経営請負責任制──国有企業のバーゲニング・ポジション
3 「貧者の天国」をどう解体するか──株式会社化の試行
第九章 公有制主体は目的ではなく手段である
1 財政赤字の膨張──温情主義の帰結
2 金融改革の試み──銀行は行政の横暴にたえられるか
3 国有企業の市場環境──非国有企業の活性化に身をゆだねよ
第一〇章 中国経済発展の地域構造
1 沿海省市の経済変動──成長地域と停滞地域
2 中国の地域間所得分配は平等化に向かっている──通説への反論
3 政策的示唆はなにか──「江浙モデル」の意味するもの
第一一章 中国は経済大国か
1 交錯する在外華人資本と中国資本──華人経済の胎動
2 中国大国化論のあやしさ──東アジア経済にビルトインされる中国
3 アメリカをどう遇するか──アジアの安全保障
エピローグ 中国経済の将来
1 中国市場経済化への視点
2 ハーフウェイの市場経済化
3 政治的自由と民主
あとがき
Ⅲ 毛沢東、鄧小平そして江沢民
はしがき
第一章 毛沢東時代の中国経済
一節 指導部の国情認識─苦々しき思い
二節 建国期の毛沢東─漸進主義の時代
三節 過渡期の総路線─急進主義への変貌
四節 第一次五カ年計画─集権制経済への道
五節 集団化への衝動─「農民搾取」
六節 「速度戦こそ総路線の魂である」─大躍進・人民公社
七節 熱気と自滅─土法高炉運動の悲劇
八節 非論理の毛沢東─廬山会議
九節 失意─調整期の経済
一〇節 再び冒進へ─三線建設と大寨大隊方式
一一節 コンミューンへの夢と挫折─文革期の経済
第三章 鄧小平の経済思想と改革・開放
一節 鄧小平思想の核心─思想の解放と生産力論
二節 農政転換─即物主義の勝利
三節 経済体制改革綱領─「放権譲利」
四節 対外開放と香港返還への道─鄧小平思想の弾力性
五節 権威主義開発体制を求めて─「四つの基本原則」
六節 国営企業改革─「両権分離」へ
七節 価格改革─市場経済化への制度基盤
八節 段階理論と発展戦略─市場経済をやり直せ
九節 改革への熱気、そして反転─「整備・整頓」
一〇節 経済引締めと天安門事件─「大きな道理」「小さな道理」
一一節 「南巡講話」─改革・開放の全面加速
一二節 改革深化─内陸部に発展を波及させよ
Ⅳ 海の中国
第Ⅲ章 何が台湾を形成したのか
1 台湾の登場
2 「反清復明」
3 清国期の台湾
4 清朝の衰弱
5 日本統治時代
6 国民党政権下の台湾
第Ⅳ章 「海の中国」から「陸の中国」へ
1 南洋華人の企業家的能力はいかに形成されたか
2 香港とは何ものか
3 「陸の中国」を塗り変える「海の中国」