日本固有の宗教として古くから信仰され、継承されてきた神道(しんとう)について、現代社会に生きるわたしたちの日常生活の中に、それがどのような形で存在しているのか、そして、わたしたちにとってどのような意味を持つものなのかを明らかにしようとする試み。
本書において、神道を理解する“鍵”として提示されるのが「多様性」と「多面性」という概念である。これらを解明するための具体例として、樹木や森・動物・酒・菓子・天気・風・厄災・地名・建築・彫刻・文様や紋章・疫病・相撲などを挙げて、その一つ一つを神道の目線でもって捉え直し、神道がわたしたちの暮らしの中に自然な形で入っていて、わたしたちの生活や人生を支えていることを浮き彫りにする。
また近年では、人気アニメの舞台として取り上げられた神社が聖地視されて、アニメファンや若者たちが集まる場となったり、絵馬の奉納を目的とする巡礼が流行していることなども取り上げられ、神道がわたしたちの日常の中に浸透していて、わたしたちと不可分の存在であることがわかる。
戦後、日本国憲法では、「すべて国民は、個人として尊重される」(第十三条)と定められ、「個」としてのあり方が大切にされる社会となり、わたしたちはその価値観を重んじ、享受している。と同時に、わたしたちは「個」としてのみ存在するのではなく、社会的な存在でもある。時に社会という荒波に投げ出される「個」としてのわたしたちをつなぎ合わせる役割を担うものとしての神道を、改めて見直すきっかけとなればとの願いを込めて著された一冊。