ぞうのフニフとわにのワムくんは大の仲よし。
ある日、ワムくんの家に行こうと歩いていたフニフは、一匹の蝶と出会います。
蝶はフニフに言いました。
「わーい。わたし、きょうから、ちょうちょだよ」
「えっ、きょうから? きのうはちょうちょじゃなかったの?」
「きょうの朝、さなぎからちょうちょになったんだ。空をとぶのって、気持ちいいねえ」
フニフは、ひらひらと舞う蝶が、ついこのあいだまであおむしだったと聞いて、ふと気になりました。
「きのうのぼくときょうのぼくって、なにがちがうのかな」。
さっそく、ワムくんに相談してみると、ワムくんは、きいちごのジャムを味見させてくれました。はじめての味に感動したフニフに、ワムくんがいいます。
「きのうのフニフはきいちごのジャムを知らなかったけど、きょうのフニフは知っているね」
「なあんだ、そんなこと」
でも、たしかにそのとおりです。
フニフはワムくんと会話をしながら、つぎつぎに「きのうとは違う自分」を発見していき……。
素敵なメッセージがつまった表題作のほか、「午後三時」「月夜」「きょうのおわりに」を収録。