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芥川也寸志とその時代

芥川也寸志とその時代

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商品説明
日本映画の傑作を彩った名旋律の数々――
『煙突の見える場所』『地獄門』『ぼんち』『八つ墓村』……日本の芸術文化の第一線で活躍し、数多の映画音楽も手がけた稀代の音楽家、芥川也寸志。
團伊玖磨・黛敏郎と結成した「3人の会」での活動をはじめ、芥川が日本映画産業に残したその偉大なる足跡を辿る。
巻末には芥川也寸志のフィルモグラフィと主要ラジオ・テレビ作品一覧、略年譜、索引を付す。
【芥川也寸志生誕100周年記念出版】

◆第1章 芥川也寸志の音楽作品における映像音楽の量的・質的重要性
先行研究を紐解きながら、芥川也寸志の音楽作品の特徴、とりわけ映像音楽で顕著に見いだせる特徴を説き起こし、日本における映画研究・音楽研究双方のエアポケットとなっていた映像音楽研究についての重要性と、芥川の音楽を考える上での映画(映像)音楽の重要性について考える。

◆第2章 「3人の会」 超スタジオ・システム的存在としての作曲家グループ
芥川が1953年に團伊玖磨・黛敏郎と結成した「3人の会」について、その映画・テレビにおける活動に注目することで、従来論じられてきた作品発表会だけに依拠した音楽史的評価とは異なる角度から、この作曲家グループの再評価を試みる。

◆第3章 芥川映像音楽作品論(Ⅰ)モティーフの流用
芥川の音楽の特徴としてしばしば指摘される「自作品からの引用や改作を頻繁に行う」という特徴は、とりわけ映像音楽で顕著に見いだせる。芥川が手がけた映像作品の中から、頻繁に流用されるモティーフについて譜例とともにできる限り詳細に紹介し、特徴的なモティーフに関するケーススタディも示す。

◆第4章 芥川映像音楽作品論(Ⅱ)テーマ音楽の強調
1970年代のインタビューで、芥川は自身の映画音楽の理想が「テーマ音楽」的なものへと移行していったことを告白している。このことについて、芥川が頻繁に組んだ映画監督のひとりである豊田四郎の作品に注目して、芥川の映画音楽観の変遷を辿る。

◆第5章 芥川映像音楽作品論(Ⅲ)特徴的な楽器の使用――チェンバロを中心に
芥川が映像音楽において頻繁に取り上げた特徴的楽器のひとつに挙げられるチェンバロについて、その歴史的変遷や映像音楽における使用例を概説し、芥川映像音楽の革新性に迫る。

◆第6章 芥川映像音楽作品論(Ⅳ)「3人の会」との繫がりから――『地獄門』を例に
カンヌ国際映画祭やアカデミー賞で受賞した『地獄門』(1953年)は、日本映画の海外進出やカラーフィルム導入の先駆的事例として映画史上に一定の評価を得ている。しかし、芥川が手がけた音楽はこれまで顧みられることはなかった。その音楽について、特に「3人の会」との繫がりを軸に再検証を試みる。
目次
序言
昭和、そして戦後日本の作曲家・芥川也寸志
芥川の映像音楽を通じた戦後映画/音楽史の再検討

第1章 芥川也寸志の音楽作品における映像音楽の量的・質的重要性
第1節 芥川音楽作品の特徴
第2節 芥川映像音楽の特徴
第3節 映像音楽作曲家としての芥川也寸志――その経歴
第4節 芥川也寸志の創作期区分
第5節 芥川也寸志に関する先行研究――その批判的考察
第6節 「日本の映画音楽」を研究する意義
第7節 本書の研究手法ならびに構成

第2章 「3人の会」 超スタジオ・システム的存在としての作曲家グループ
第1節 日本映画産業史についての先行研究の整理とその問題点
第2節 スタジオ・システム下の日本映画産業と音楽家たちの関わり
第3節 作曲家・芥川也寸志と「3人の会」
 第1項 「3人の会」の活動範囲はどこまでか
 第2項 映画の中の「3人の会」――『夜の蝶』
第4節 「3人の会」と映画――実利的結びつきによる作曲家グループ
第5節 映画界の斜陽化と「3人の会」の活動停滞化、そしてテレビへの進出
 第1項 「3人の会」とテレビの世界
 第2項 『音楽の広場』の「3人の会」特集――その映像分析

第3章 芥川映像音楽作品論(Ⅰ)モティーフの流用
第1節 芥川映像音楽におけるモティーフの流用
 第1項 赤穂浪士のテーマ
 第2項 落武者のテーマ
 第3項 『螢火』メイン・タイトル
 第4項 『花のれん』遺影のテーマ
 第5項 嘆きのテーマ
 第6項 祈りのテーマ
 第7項 『破戒』メイン・タイトル
 第8項 衝撃のテーマ
 第9項 『暗夜行路』メイン・タイトル
 第10項 『夕凪』メイン・タイトル
 第11項 『煙突の見える場所』メイン・タイトル
 第12項 『台風騒動記』メイン・タイトル
 第13項 『雪之丞変化』の音楽
 第14項 その他のモティーフ
第2節 モティーフの流用に関するケーススタディ
 第1項 モティーフが流用されるとき――現存自筆譜からうかがえる楽譜レベルでの流用
 第2項 血塗られたモティーフ――落武者のテーマ
 第3項 虐げられた魂への挽歌――祈りのテーマ
 第4項 「上方もの」「時代劇」を往還する諸モティーフ、その集積地としての『赤穂浪士』
 第5項 映画監督との協働――シグナル・ミュージック

第4章 芥川映像音楽作品論(Ⅱ)テーマ音楽の強調
第1節 芥川の映画音楽観の変遷
第2節 『猫と庄造と二人のをんな』――映像に同期し、物語をコントロールする音楽
第3節 『花のれん』――既存の映画音楽からの流用、物語世界を象徴する音の顕現
第4節 『地獄変』――映画音楽語法の洗練(テーマ音楽の強調)
第5節 「テーマ音楽の強調」の先行形態としての「モティーフの流用」

第5章 芥川映像音楽作品論(Ⅲ)特徴的な楽器の使用――チェンバロを中心に
第1節 トーキー初期の映画音楽におけるチェンバロの響き
第2節 日本におけるチェンバロ音楽の受容、芥川にとってのチェンバロ
第3節 芥川也寸志の映像音楽におけるチェンバロの響き
 第1項 『自分の穴の中で』――単一楽器を用いた伴奏音楽
 第2項 『台風騒動記』――登場人物の戯画化
 第3項 『赤穂浪士』――むちとの結びつき、歴史性の顕現
 第4項 《チェロとオーケストラのためのコンチェルト・オスティナート》――演奏会用作品におけるチェンバロ
 第5項 『影の車』――諧謔性から離れて、盟友・野村芳太郎との協働

第6章 芥川映像音楽作品論(Ⅳ)「3人の会」との繫がりから――『地獄門』を例に
第1節 『地獄門』の映画/音楽史的重要性――作品評価の更新を目指して
第2節 『地獄門』の音楽――その特徴
第3節 『地獄門』と《交響曲第一番》――その共通性
 第1項 「嘆き」の主題系
 第2項 「門出」の音楽
第4節 映画史と音楽史の交差点としての『地獄門』

結語
「超スタジオ・システム的存在」としての作曲家、その代表としての「3人の会」
芥川也寸志の映像音楽におけるモティーフの流用――超スタジオ・システム的実践として

あとがき

芥川也寸志 フィルモグラフィ
芥川也寸志 主要ラジオ作品
芥川也寸志 主要テレビ作品
芥川也寸志 略年譜

索引
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