ジゼルはルチアの「妹」なのか?――
狂乱という視点からオペラとバレエの歴史を捉えなおすとともに、西ヨーロッパではいったんステージから消え去った《ジゼル》が、ロシアで上演され続けた理由について、ひとつの仮説を提示する。
【目次】
はじめに
◆第一部 主としてオペラについて
第一章 舞台の上で狂乱してよいのか
第二章 バロック期の狂乱オペラ
(一)滑稽、スペクタクル……
(二)理性/非理性としての愛欲
(三)嘆きの歌(ラメント)
第三章 過渡期の狂乱オペラ
(一)十七世紀的発想から十八世紀的発想へ
(二)センチメンタル・オペラ
第四章 最盛期の狂乱オペラ
(一)センチメンタル・オペラから受け継いだもの
(二)典型的な狂乱オペラ
第五章 変貌する狂乱オペラ
(一)変化の兆し
(二)ヴェルディの場合
(三)フランス・オペラの場合
第六章 ロマンティックな狂乱オペラの終焉
(一)最後のロマン的狂乱か?
(二)衰退の背景
(三)リムスキー=コルサコフの場合
◆第二部 主としてバレエについて
第一章 バロック的狂乱
(一)《ラ・フィユ・マル・ガルデ》をめぐって
第二章 ロマンティックな狂乱
(一)《ニーナ》、《夢遊病の女》、そして……
(二)《ジゼル》
(三)《ラ・シルフィード》と《コッペリア》
(四)《ラ・シルフィード》、《ジゼル》と《コッペリア》の比較
第三章 ロマンティシズムの衰退
(一)ゾラの『居酒屋』
(二)反ロマン主義的な文化的・思想的状況
第四章 ロシアにおける《ジゼル》と《ジゼル》的なもの
(一)《ジゼル》のその後
(二)《ジゼル》的なもの
第五章 展望
あとがき