基礎学問の習得に重点を置いた勉強を通して,より高いレベルで議論できるパワエレ技術者を目指してほしいとの思いから「シリーズ 基礎から学ぶスイッチング電源回路とその応用」を刊行する運びとなった。本シリーズは,大学における工学教育と企業における実践教育の橋渡しを想定しており,物理現象のイメージをもとに理論面をやや重視した内容になっている。シリーズ全体を通した学習によってインバータやコンバータなどの設計はもちろん,機器の故障・動作不良に際して科学的な方法で原因を究明し,問題解決にあたる高度な技術者になることを期待している。
シリーズ5巻の本書では,1章でPFC(力率改善: power factor correction)回路を説明した後,スイッチングモード・パワー電源の電力損失低減法として,2章で共振型コンバータ回路,3章でLLC回路,4章でPSFB(位相シフトフルブリッジ)回路,5章でリチウムイオン電池とOBC(PSFB,DAB: dual active bridge),6章で超高速電流供給電源としての多相コンバータ,7章で共振型ゲート駆動回路について説明する。