重要なのは、何かを選ぶこと。
選ばなければ、人生は始まらない。
選ばざるを得なかった仕事に黙々と熱狂する。
運命に従え。道は開ける。
「友詞には食神がついている」。料理の道に進むことは、易者(えきしゃ)だった父親が決めたことだった。
中学の卒業式から三日後、東京・赤坂の名店「山王飯店」での修行の日々が始まる。
北海道での悪童時代、絶対的存在の父親、1日に何百枚も洗った中華鍋、グランドメニューへのこだわり、ニューヨークへの出店、コロナ禍の人生最大の決断。
中国料理一筋、運命を受け止め、もがき苦しみ、日本の中国料理界のトップに君臨するまでの50年の軌跡。
脇屋シェフの人生そのものである中国料理。自然の産物の食材と人間の格闘の歴史でもある中国料理は複雑で分厚く深遠だ。
はたして中国料理とは何なのか? その壮大な問いに答えるために、夜更けの厨房で思案する日々が続く。
やがて「ヌーベルシノワ」の先駆者となり、新たな地平を切り開き続けてきた。
そして料理人人生50年となる今年、これまでの店を次の世代に任せ、さらに新しい中国料理を求めて窯を使った新しい店を銀座にオープンする。
夢は実現させた後に語るものだ。「これが自分の夢だったんだ」と。
先ずは目の前のことに必死になれ、ひたすら考え抜け! 心が奮い立つ圧倒的自伝。
最も大切な時、なぜ脇屋さんのところに行くのか、納得の書。
栗山英樹(元WBC日本代表監督)
生きるとは、仕事とは、どういうことか。
ページをめくる度に、胸を打ち心が震える一冊。