第一部 人の国、神の国
第一章「世界の屋根」
1 宗教的チベット
2 封建社会
第二章 チベット帝国の誕生と崩壊(七-九世紀)
1 人と王の起源
2 神話上の王から歴史上の皇帝まで
3 征服皇帝ソンツェン・ガムポ
帝国の組織/皇帝と大臣/領土の確立
4 ティソン・デツェンと帝国の最盛期
帝国の絶頂期
5 最後の仏教皇帝たち
6 帝国の崩壊
第三章 仏教権力の形成
1 アティーシャ
2 宗派
サキャ派/カギュ派
3 寺院の日常生活
4 隠遁者、聖人、化身
5 仏教権力と世俗権力
第四章 ラマ、モンゴル皇帝、天子
1 モンゴルの侵略
2 サキャ派時代
モンゴルの支配/ディグンの戦い(一二八五-九〇)/サキャ派・パクモドゥ派の対立(一三二二-五八)
3 パクモドゥ派時代
ゲルク派の系譜/明との関係/パクモドゥ派の衰退
4 僧侶、貴族、保護者
第二部 ダライ・ラマの時代(十五―十九世紀)
第五章 戦争、仏教、ダライ・ラマ
1 リンプン家の台頭と衰退(一四四四-一五六五)
2 モンゴル人とゲルク派の同盟
最初のダライ・ラマ/宗派間の抗争/ゲルク派の保護者グシ・ハン
3 国家元首ダライ・ラマ五世ンガワン・ロプサン・ギャムツォ
僧侶/ダライ・ラマ五世の北京訪問/調停/西洋との最初の接触
4 難しい継承――摂政サンギェ・ギャムツォとダライ・ラマ六世
5 ジュンガル部の侵略
第六章 中国の宗主権
1 チベットの保護者中国
ポラネの治世(一七二八-四七)/不安定な治世――ギュルメ・ナムギェル(一七四七-五〇)/構造の変化/ラサの最初のキリスト教徒
2 垂涎の的チベット
イギリスの最初の侵入/グルカ戦争
3 中国の保護領
政治的保護と宗教的保護
第七章 脆弱な統一
1 摂政の時代
2 戦争から内部危機へ
ドグラ戦争/政府危機/第二次グルカ侵略/第二次政府危機/フランス人カトリック宣教師/ニャロンの反乱
第三部 ダライ・ラマ十三世(一八七六-一九三三)の治世
第八章 「世界の屋根」への競争(一八七六-一九〇六)
1 チベットにそそがれる列強の目
ロシアの南方進出/イギリスのヒマラヤ地域に対する関心/最初の国際条約――カルカッタ条約とダージリン条約
2 サンクトペテルブルグとロンドンの対抗
ダライ・ラマ十三世トゥプテン・ギャムツォの実権掌握/チベット・ロシア関係/ロシア・イギリスの対抗/イギリスの侵略(一九〇三-〇四)/ラサ条約
3 中国の優位確立
インドにおけるチベット人の活動/北京条約
第九章 「龍」中国(一九〇五-一一)
1 東チベットの反乱
バタン(巴塘)の反乱/趙爾豊の西康
2 ラサの中国人弁務官
3 ダライ・ラマ十三世の亡命(一九〇四-〇九)
フランスとの提携の模索/ラサ帰還/ダージリン滞在
第十章 独立チベット
1 独立の追求
シムラ条約
2 軍事化と近代化
ベル使節
3 禁断の国
イギリスとの断絶/寵臣の時代/中国・チベット関係/西康の亡霊/ベリ・デルゲ戦争/ダライ・ラマ十三世の死
第四部 現代チベット
第十一章 黄昏(一九三四-五九)
1 ラデン摂政期(一九三四-四一)
2 第二次世界大戦中のチベットの中立
3 タクダ摂政期
チベットの孤立/共産主義者の侵略/「チベット平和解放に関する協定」(十七か条協定)
4 力の試しあい(一九五〇-五九)
第十二章 亡命チベット、中国チベット
1 亡命期
ダラムサラ亡命政府/国連は「深刻に憂慮している」と声明/ネパールと中国との合意
2 内地及び国境地帯での抗争
3 自由化にむけて?
民族四散と国際的認知/一九八七年-八八年――希望と流血の二年
4 チベット民族の象徴ダライ・ラマ
エピローグ――鎮魂の歌か希望の歌か
人口の増加と減少/宗教/中国問題
訳者あとがき
付録
独立宣言(一九一三年)
中央人民政府とチベット地方政府のチベット平和解放に関する協定(十七か条協定)―― 一九五一年五月二十三日
年表
古代皇帝表
歴代のダライ・ラマ、パンチェン・ラマ
チベット語のカタカナ表記について
資料と参考文献
地図一覧・写真所蔵一覧
索引