本図鑑は、海産浮遊珪藻の中でも種類や数が最も多いとされる日本産キートケロス科の図鑑です。主な特徴は、キートケロス科の形態と遺伝子解析結果をQRコードで確認でき、紐づけ参照可能な貴重な資料です。
図鑑は3章からなり、第1章では、珪藻の基礎から分類上の位置、生活史、休眠胞子の分類方法、栄養細胞での分類ポイントなどを掲載しています。
第2章では、(1)写真で探す検索表や、一般的な検索表があり、(2)メインの図版では、掲載種68種の光学顕微鏡及び、走査型電子顕微鏡画像を多数取り入れ、本科の特徴である刺毛の表面構造や、休眠胞子の画像を掲載しております。また栄養細胞だけでは形態分類が困難な種の(3)タイプ分けを行う方法なども掲載しております。更に、各種の図版以外に、(4)刺毛表面構造のSEM画像をまとめた表形式の図(63種)、(5)休眠胞子の画像だけをまとめた表形式の図(28種)、(6)遺伝子解析結果の集大成である系統樹(2種:18S,28S)とその考察も掲載しております。
第3章では、海産の珪藻研究をするための調査方法、分析方法、光学顕微鏡の見方のコツ、電子顕微鏡観察の方法、単離培養や休眠胞子形成などについて掲載されており、微細藻類の培養等に関しての有用な参考書としての役割も果たしております。
■目次
本書の特徴と見方(同定方法&QRコード)
第1章 キートケロスの基礎知識
1, キートケロスって何者?
2, キートケロスの発見と分類体系
3, キートケロスの利用
4, Chaetoceors属の基本形態と生活史
5, Chaetoceors属の栄養細胞の同定ポイント
6, Chaetoceors属の休眠胞子の形態と種同定方法
第2章 キートケロス図鑑
1, 掲載種
A. 代表種写真/B. 検索表/C. 種名リスト
2, 種別図版
Bacteriastrum 6種/Chaetoceros 61種/Attheya 1種
3, 形態分類のタイプ分け(栄養細胞だけでは分類できない種類)
4, 刺毛表面構造一覧表(SEM写真一覧と形態特徴)
5, 休眠胞子一覧表(LM,SEM画像と図)
6, 分子系統
第3章 調査・分析方法
1, 調査目的と採集
目的/採集方法/サンプルの固定/サンプルの濃縮
2, 海産浮遊珪藻の観察
生物顕微鏡/倒立顕微鏡/走査電子顕微鏡(SEM)/透過型電子顕微鏡(TEM)/プレパラートの作成/SEM試料の作成方法
3, 単離培養&休眠胞子形成
目的/器具・機材/微細藻類の単離/容器や培地の滅菌操作/培養器/使用培地の種類/培養条件/藻類の保存方法/休眠胞子の誘導
4, 遺伝子解析方法
5, データ集
参考文献
検索表
*************************