シェイクスピアは52歳という若さで亡くなっている。悲劇の最高傑作と呼ばれる『リア王』は、彼が37歳ぐらいのときに書かれた作品である。若くしてよくこんなキレる老人の話が書けたものだと敬服する。翻訳にはアーデン版『リア王』を用いた。10種類もの多くの原典がある中でこれを選んだのは、亡き妻がロンドンで英文学を学んでいたときのテキストであり、ここに彼女の貴重な多くの書き込みがあったからである。とても参考になった。現代という時代、この作品を読まれた方の多くは、リア王の強い思い込みと激情に駆られて即断するという「愚かな罪」に対しては、「罰」が厳しすぎるのでは?と思われるのではないだろうか …… いつかまた原作品や改作のほうが良しとされる日が来るかもしれない。これは人々の受容性、感性しだいだ。(あとがきより)