過去の光にとらわれた男と、未来の光を求める女。
創作という魔物にとらわれた彼らの、
甘美な暗闇に引きずり込まれます。瀧井朝世(ライター)
色鮮やかな過去の栄光に囚われ、
薄暗い世界で自分の役を演じ続ける。
その痛々しさと純粋さに苦しくなるとともに、
瞳介たちへの愛しさで胸がいっぱいになりました。齋藤明里(女優)
過去のひかりを浴びた者は、まぶしさを忘れることができない。
栄光と挫折を経て、生き延びようとする人々はどこへ向かうのか。
言葉で紡がれるリアルな幻想世界に酔いしれた。中江有里(女優・作家・歌手)
ひとつの映画が変えた、俳優と監督の未来。
人生の絶頂の、そのむこうの物語。
子役として映画『アイリス』に出演し、脚光を浴びた瞳介は、その後役者として成功できずに高校卒業前に芸能界をやめた。だが、映画で妹役を演じ、現在は女優として活躍する浮遊子との関係は絶てずにいる。『アイリス』の栄光が、彼を過去へと縛りつけていた。そしてそれは、監督の漆谷も同じだった。28歳で撮った『アイリス』は数々の賞を受賞したが、彼自身はどれだけ評価を得ても、デビュー作を超えられないという葛藤を抱えていた。ひとつの映画が変えた俳優と監督の未来。人生の絶頂の、その先の物語。