光に祈りを捧げるようにして、
それでも彼女たちは世界を撮り続けた。
芥川賞受賞作『首里の馬』に続く、著者渾身の傑作長編
私たちが生きるこの世界では、映像技術はその誕生以来、兵器として戦争や弾圧に使われてきた。時代に翻弄され、映像の恐るべき力を知りながら、私の先祖たちはそれでも映像制作を生業とし続けた。そして今も、数多の監視カメラが意思なき眼を光らせるこの街で、親友と私は携帯端末をかざし、小さなレンズで世界を切り取っている撮ることの本質に鋭く迫る、芥川賞作家の傑作長編。第42回日本SF大賞候補作。