• 発売日:2021/04/02
  • 出版社:南江堂
  • ISBN:9784524228850

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日本臨床栄養代謝学会 JSPENテキストブック

日本臨床栄養代謝学会 JSPENテキストブック

通常価格 5,500 円(税込)
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  • 発売日:2021/04/02
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商品説明
『一般社団法人日本静脈経腸栄養学会静脈経腸栄養テキストブック』の改訂版.本書はNSTの一員として栄養管理に携わるすべての医療者を対象に,解剖から生理,生化,経腸栄養,静脈栄養,さらには各病態における栄養管理まで臨床栄養学の知識と実際を,最新の機器や製剤も含めて詳しく解説.NST専門療法士の認定試験や認定医試験のテキストとしてだけでなく,臨床栄養に関わる者すべてが広く活用できる成書である.
目次
【書評】
 評者は上部消化管診療を専門に行っているが,最近は高齢の胃癌患者が特に多くなってきていることを実感する.前任地でも手術患者の平均年齢は実際に年々高くなっており,70歳以上が6割で,80歳以上も25%を占めるまでになっている.高齢者では加齢に伴う体力・筋力の低下があり,「フレイル」「サルコペニア」と称される病態の頻度も高く,心血管系の併存疾患も多い.高侵襲の治療に耐えられないのではないかと,患者に対して感じることも少なくない.また,栄養状態がもともと良好でないところに,上部消化管手術,特に胃全摘を行うと,経口摂取量低下から栄養障害がすすんでしまう懸念もある.フレイルサイクルの悪循環に入ってしまうと衰弱が進行する一方であり,それを避けるためには栄養障害からの脱却が必須である.高齢者の癌治療では,ガイドラインに記載されている定型手術の提供が大切である一方,疾患そのもの以前に栄養管理上で患者「自身」に必要とされる対応が多く,個々の患者に合わせた究極のテーラーメイド治療が求められるのであろうと考えている.

 そのようなことを考えていると,外科医にとって栄養管理に習熟することは必須なのだと,この当たり前のことを改めて感じた次第である.栄養管理はなんとなくわかっている気でいるものの,初期研修医のころに臨床の現場や書物で学んだことから知識を大幅に更新したかといわれるとまったく自信がない.忙しい日常診療業務に追われ,当たり前の「栄養管理」につきアップデートできず,以前に獲得した知識のまま経過してしまっていることはないであろうか.改めて体系的に学ぶ機会もなくすぎていると感じているのは評者だけであろうか.

 本書は,2020年1月に「日本静脈経腸栄養学会」から名称が変更され新しくなった「日本臨床栄養代謝学会」という学会名を冠している.生化学の基礎的項目から栄養評価,経腸栄養法,経静脈栄養法の基本,さらには疾患ごとに特に注意すべき栄養管理についても詳述されている.栄養不良の患者に遭遇することは臨床の現場で少なくない.嚥下機能が低下した患者での栄養管理,在宅移行を希望している患者への対応に苦慮するシーンも少なくないと思われる.生命予後の限られた終末期癌患者の管理法についても悩むことはないであろうか.本書では,目の前の患者に対してどういった対応が最良か,今すぐ実行可能なようにきわめてわかりやすく書かれてある.平易な言葉で整然と書かれており,たいへんわかりやすいレイアウトになっている.日常診療の中でふと疑問に思ったことがあれば,本書の目次に目を通すとよい.非常に細かく章立てしてあるため該当項目にすぐにいきつける.「栄養に関する辞書」といえる内容の充実ぶりで,知識の確認・整理が手軽にできる構成からも,編者の先生方の教育的な熱い思いが伝わってくる.書籍の帯にもあるとおり,まさに「栄養サポートチームに関わるすべての医療者のための一冊」である.

臨床雑誌外科83巻11号(2021年10月号)より転載
評者●山下裕玄(日本大学消化器外科教授)


【内容目次】
第1章 解剖と生理・生化
 I.解剖
  A.上部消化管
  B.肝臓
  C.胆道,膵臓
  D.下部消化管
 II.消化と吸収
 III.生化学
  A.タンパク代謝(同化と異化を含めて)
  B.糖質代謝
  C.脂質代謝
  D.微量栄養素
  E.食物繊維
 IV.水と電解質
 V.酸・塩基平衡

第2章 栄養療法の基礎
 I.栄養不良の病態生理
 II.栄養評価
  A.栄養スクリーニング
  B.身体計測
  C.生化学的指標
  D.免疫能評価
  E.窒素代謝および窒素平衡
  F.間接熱量測定
  G.インピーダンス法と二重エネルギー
 III.日本人の食事摂取基準2020年度版

第3章 経腸栄養法と静脈栄養法
 I.栄養療法の選択基準
 II.栄養素投与量の決定法
 III.経腸栄養法
  A.投与方法
  B.経腸栄養剤の種類と選択
  C.経腸栄養法の管理
  D.経腸栄養法における薬剤投与
  E.経腸栄養の合併症とその対策
  F.胃瘻・空腸瘻の造設と管理
 IV.静脈栄養法
  A.投与経路(PICCを含めて)
  B.静脈栄養剤の種類と組成,特徴
  C.静脈栄養法の管理
  D.静脈栄養法における薬剤・栄養素
  E.中心静脈カテーテル挿入時の機械的合併症と対策
  F.カテーテル関連血流感染(CRBSI)の診断と治療
  G.静脈栄養法の合併症と対策-静脈栄養法におけるリスクマネジメント
  H.末梢静脈栄養の方法と実際

第4章 飢餓と侵襲に対する代謝反応
 I.飢餓の病態生理
 II.侵襲時の代謝変動
 III.悪液質の病態生理

第5章 病態下の静脈・経腸栄養法
 I.成人
  A.心疾患に対する栄養療法
  B.肝疾患に対する栄養療法(肝硬変も含む)
  C.急性膵炎,慢性膵炎に対する栄養療法
  D.炎症性腸疾患に対する栄養療法
  E.消化管瘻患者に対する栄養療法
  F.腎不全に対する栄養療法
  G.外科周術期の栄養療法
  H.がん化学療法時における栄養療法
  I.がん緩和ケアにおける栄養療法
  J.重症病態(外傷,熱傷,重症感染症)における栄養療法 小谷 穣治
  K.神経性やせ症に対する栄養療法
  L.脳血管障害に対する栄養療法
  M.神経変性疾患に対する栄養療法
  N.認知症患者に対する栄養療法
  O.肥満症患者に対する栄養療法
  P.糖尿病患者に対する栄養療法
  Q.COPDに対する栄養療法
  R.摂食嚥下障害に対する栄養療法
  S.褥瘡に対する栄養療法
  T.移植患者に対する栄養療法
  U.妊婦に対する栄養療法
  V.高齢者に対する栄養療法
 II.小児
  A.栄養療法における小児の特殊性と栄養必要量
  B.新生児の栄養療法
  C.消化管異常に対する栄養療法
  D.腎機能障害に対する栄養療法
  E.悪性腫瘍,造血幹細胞移植に対する栄養療法
  F.救急疾患に対する栄養療法

第6章 在宅栄養療法
 I.在宅経腸栄養法
 II.在宅静脈栄養法

索引
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