生きるための緩和ケア病棟
1.緩和ケア編
どうにもならない坂道に咲く花
今週も木曜日が来る
命はまるで虹のように
棺桶に入るまでにやりたいことリスト(前編)
棺桶に入るまでにやりたいことリスト(後編)
夜明けの緩和ケア医
メロにしか聞こえない
傘は開いて中腰で、待・つ・の。(前編)
傘は開いて中腰で、待・つ・の。(後編)
一行のカルテの向こうに
寄り添いは思い上がり
ひとりきりの私たちの間に、夜空
線香と花と空想科学読本と
打ち上げ花火を対岸から見てみたら
なぜ医師は地下鉄でサリンを撒いたのか?もしくは、緩和ケアは誰を救うか?
2.地域医療編
敬語の「敬」
たまたまが重なる場所
Too young to die
星降る当直の夜に
投げたまま消えて返らないボール
十五の夜を、今
Sunshine, on San Salvador
知らないままで仏
手を合わせて、交信中
九十歳、スキップして
ミノタウロスの迷路から
十万キロを来た愛車と、あと二十万キロ
続いていく線路のポイントの上で
ウイルスの波間を駆け抜ける
マスクをして、その先へ
三日目を待つ処方
煙草屋のおばさんは禁煙を勧めたい
ときに牙をむく怪物との共存
物体になった日のこと
高速道路のネズミ
3.哲学編
今夜ヴァンパイアになって
私は死んだことがない
あたらしい日常
正義は袋小路で味わう苦さ
まあまあ、だんだん、どんどん を分け合う
本当に、あげたかったものは
[Gmail]訃報
私を医者にするもの、あなたから引き離すもの、我々を繋ぐもの
少し読んでたくさん考えるための読書ガイド
ずっと、ここで待っていた ――あとがき
・本書のエピソードは、事実に基づき、内容を再構成しています。
・登場人物はすべて仮名です。