~薬剤師の定番フレーズを化学する!~
モノからヒトへ,そして薬剤師も「対物」業務から「対人」業務へ.こんな構想が2015年に厚生労働省「患者のための薬局ビジョン」に記されてから10年.薬剤師の薬の専門家としての対話力・発信力はどのくらい向上したでしょうか.まさか,添付文書どおりの説明を暗唱し,「お変わりありませんか」「お大事に」のテンプレで締めていませんよね?
ここ10年では患者との対話だけでなく,他職種への情報共有や処方提案も求められるようになり,薬剤師が“薬にまつわる何らかの説明”をする機会は格段に増加しています.そんなときに,添付文書に書いてあったフレーズや先輩が使っていたフレーズのうわべを暗記してそのまま繰り返すだけでは,専門家として信頼は得られません.患者から,医師から,看護師から,薬剤師の力を求められたときに,自信をもって薬の作用・副作用や,同種同効薬との違い,休薬期間を“自分の知識に基づく言葉”で説明できるようになりませんか? 本書では,“薬局・調剤室で飛び交う定番フレーズ”をもとに,有機化学の視点で,薬のはたらきを読み解きます.第1弾は“薬理作用”を添付文書にも載っている「くすりのかたち」(化学構造式)から解説.しかもこれを読めば,登場するほとんどの化学の知識は,なんと高校までで見聞きしていることにも気づくはず.薬学部で有機化学をうっすら嫌いになった皆さんにもオススメです!
主な内容
・第1章「化学構造式って薬剤師の業務に必要ですか?」
序章:化学構造の知識の必要性と大まかな構成
・第2章「受容体(酵素)を標的に作用します」
薬理作用:医薬品の作用を決定づける構造とは?
・第3章「併用しないでください」
相互作用:姿かたちが似た者どうしにご用心!
・第4章「選択性が高い薬です」
選択性①:基本骨格と置換基の大きさで簡単・解決!
・第5章「副作用が起こりにくい薬です」
選択性②:基本骨格が定まらない場合には?
・第6章「眠くなりにくい薬です」
副作用:抗ヒスタミン作用と抗コリン作用のかたち
・第7章「より有効な成分のみを分離した薬です」
キラルスイッチ:姿は似ているのに特徴は別物?
・第8章「○日前から休薬してください」
作用持続時間:結合の種類で見きわめる!
・第9章「紫外線が当たらないようにしてください」
薬剤性光線過敏症:見つかる,ラジカル,共役構造
・第10章「金属イオンが薬理作用に重要です」
金属元素:個性の源は価数と電気陰性度にあり!