本書は、「マネジメント」という分野が機械工学や電気工学といった他の技術分野に比べて「地味」に映りがちであるという著者の率直な認識から生まれました。理工学部の学生が風洞実験やエンジンの動作、電子回路の組み立てといった「見せる(魅せる)もの」を通して興味を引かれるのに対し、経営工学では視覚的なインパクトに欠けるという課題意識がありました。
この課題に対し、著者は学生たちと共に、実際に手を動かし、試行錯誤することでマネジメントの理解を深められるような「実験・演習を通じた教材」の開発研究に取り組んできました。本書はこの研究の集大成であり、学生たちの卒業研究として積極的に取り組まれた成果や、企業研修で実践され好評を得てきた教材の一部が収められています。
また、ものづくりの様々なシーンを具体的に取り上げ、読者がマネジメントの本質を直感的に理解できるよう工夫されています。「地味」と見られがちなマネジメントに、いかに実践的な興味と深い理解をもたらすか。その問いに対する著者の答えが、この一冊に凝縮されています。
~JSQC選書とは~
「新・質の時代」における新たな品質論を各界に展開し広く啓蒙していくことを目的とした、品質管理学会完全監修のシリーズ書籍です。広い層の知識人に対して品質の意味・意義を説くために、興味ある時事をとらえつつ、品質にかかわる基本的概念・方法を説明します。