パリを知るための必携書
パリの歴史といっても、政治史ではなく、パリジャンたちの日常生活を題材にしたものである。犬、オペラ、キャバレー、劇場、下水道、市長、宝くじ、地下鉄、売春、パサージュ、四輪馬車といった600の項目により、文化・政治・宗教から芸術・風俗習慣にいたるまで、パリの生活のあらゆる側面が歴史的に論じられている。
たとえば、「理髪師」はこのようにはじまる。「理髪師はもともと外科手術と理髪を兼業していた。十五世紀以降、とくに大きな祭りのときに雇われる「めかし女」「めかし屋」「飾り女」などと呼ばれる女性の理髪師が出現した。床屋(barbier)はふだん、男女双方の客を取ったが、彼らの技術は女性のおしゃれ心を完全に満足させるほど十分には洗練されていなかった」。つづいて変遷が詳述され、末尾には参照すべき他の項目が示されている(本項では「外科医」「床屋」)。「これ一冊でパリという途方もなく広大なテーマのネットサーフィンの醍醐味が味わえるわけである」(鹿島茂「はじめに」より)
主要人名・地名索引に加え、和文・欧文それぞれの収録項目一覧(収録ページ付)も充実。