精神分析が最も発展した国の一つであるフランスでは、フロイト思想は英米圏とは異なる視座から独自の解釈と議論が積み重ねられてきた。本書は、そうしたフランス精神分析の立場から、フロイトを理解するための重要な概念を100語に厳選し、それぞれを手がかりに思想の全体像を描き出している点が大きな特徴である。「エディプス」「昇華」「抑圧」といった精神分析の根本概念に加え、「死」「戦争」「情愛」など日常的な言葉や、「ドストエフスキー」「ハムレット」「レオナルド・ダ・ヴィンチ」など文化的対象も取り上げ、単なる用語集にとどまらず、フロイトの人生経験と理論形成の結びつきに目を向け、人物像と思想を理解する姿勢を明確にする。フランスでフロイトがどのように読まれ、その読解がいかに精神分析の理論と実践を形成してきたかを、100語で浮かび上がらせる。