終戦後の昭和20年8月17日深夜。ソ連軍は千島、北海道の占領をめざし、千島列島北東端の占守島への上陸を開始した──。
戦争が終わり、やっと父母の待つ故郷に帰れると安堵していた10代の少年戦車兵たちが直面した、あまりに過酷な現実。そして、日本軍は戦車部隊を率いた池田末男連隊長はじめ、約300名の戦死者を出すものの、ソ連軍に大損害を与え、侵攻を足止めした。
もし、この戦いがなければ、北海道はソ連に占領され、日本の戦後は大きく変わっていたかもしれない。だが、奮闘した日本軍兵士たちは、シベリアに送られ、さらに苦闘を重ねることになる……。
本書では、「日ソ戦争」の一局面である占守島の戦いとシベリア抑留の日々を、生き残った人びとの詳細な記憶の積み重ねによって、克明に描き出す。 〈ソ連軍の小銃弾が戦車の装甲を削り、火花とともに細かな鉄粉が飛び散った。それが小窓から飛び込んで硝煙の煙と入り混じって目に入り、痛くて、小田は何度も目をしばたたかせた。小田は「戦争とはこんなに息苦しいものなのか」と思った。(本書第二章より)〉
北海道の白虎隊として散っていた少年戦車兵たちの知られざる戦いと、鎮魂の記録。
【目次】より
●第1章 最前線
●第2章 終戦三日後の激戦
●第3章 停戦
●第4章 抑留
●第5章 戦後
●第6章 時が止まった島