はじめに
凡例
序論 「へだたり」を哲学する
一 本書の狙いと探究方法
二 「へだたり」の多義性と「理解」の複雑性
三 全体の見取り図と「歴史的構想力」への道
第一章 西田幾多郎とディルタイ哲学──京都学派のディルタイ評価と『ディルタイ著作集』「推薦の辞」を手がかりにして
一 「ディルタイ・ルネサンス」とディルタイ像の変遷
二 『ディルタイ著作集』の刊行と挫折を中心に
三 西田幾多郎のディルタイ観と評価の主要論点
四 ディルタイ評価の両義性
五 『体験と詩』「序」から窺われるディルタイ観
六 西田によるディルタイ評価の残された課題
第二章 田辺元とW・ディルタイの思索の「家族的類似性」──『ディルタイ=ヨルク伯往復書簡集』とハイデガーの影響作用史再考
一 留学前の田辺のディルタイ評価をめぐって
二 『オントロギー(事実性の解釈学)』におけるディルタイ批判
三 ヨルク伯による『精神科学序説』の批評
四 『存在と時間』におけるディルタイとヨルク伯の批判と評価
五 帰国後の田辺のディルタイ評価
六 影響作用史から見た田辺のディルタイ評価
七 ディルタイ後期の思索と「媒介」としての「体験の表現」
八 「無窮の動性」と「歴史的生の生動性」
第三章 田辺哲学と「歴史的理性批判」への道──ディルタイとの「重ね読み」の試みの帰趨
一 「歴史的理性批判」の試みとその継承
二 田辺における歴史理解と「歴史的理性批判」
三 ディルタイの「歴史的理性批判」の構想
四 生の謎と世界連関の象徴
五 生と死──田辺のハイデガー批判とディルタイとの共通点
六 歴史的生・歴史的意識・時間
七 「重ね読み」の試みの帰趨
第四章 和辻哲郎に対するディルタイの影響の多面性──和辻倫理学の基盤としてのディルタイ哲学
一 和辻に対する批判と評価の新たな視点
二 ディルタイとの出会いとその後の影響
三 ディルタイ的=文献学的=解釈学的「方法」と『日本古代文化』
四 文献学と解釈学の意義と課題
五 和辻に対するベックおよびディルタイの影響
六 『続日本精神史研究』におけるヴェルフリン批判とディルタイ評価
第五章 和辻倫理学とディルタイ解釈学──「歴史的理性批判」と和辻倫理学の体系
一 『風土』第四章におけるディルタイ評価をめぐって
二 『人間の学としての倫理学』とディルタイ解釈学
三 『倫理学』におけるディルタイ評価をめぐって
四 和辻の思索におけるディルタイ哲学の意義
第六章 三木清とディルタイ解釈学──歴史哲学と「歴史的理性批判」
一 「批判哲学と歴史哲学」における「歴史的理性批判」の内実
二 ドイツ留学中のディルタイとの出会い
三 『ディルタイの解釈学』をめぐって──偉大なる哲学史家
四 『ディルタイの解釈学』をめぐって──哲学と歴史科学との結合の鎖
五 『ディルタイの解釈学』をめぐって──生の体験・表現・理解
第七章 マルクス主義とディルタイ批判の変遷──科学批判から構想力の論理へ
一 マルクス主義とディルタイ哲学──「科学批判」の所在
二 『歴史哲学』における「歴史の基礎経験」と「歴史的生」──「哲学の出発点」
三 「世界観構成の理論」──「預言者的哲学」による批判の試み
第八章 『構想力の論理』と歴史的構想力の批判──『哲学的人間学』のディルタイ批判を介して
一 『構想力の論理』とディルタイ哲学
二 『哲学的人間学』のディルタイ評価をめぐって
三 三木の政治哲学・創造的構想力とアーレントの政治哲学・政治的判断力
結論 「想像力の植民地化」を超えて
おわりに
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