最愛の夫だった――
陰で裏切られていたと知るまでは。
3年前、ジョアンナの幸せだったはずの結婚生活は、
夫の浮気相手が現れ、妊娠したと告げたことで破綻した。
心の片隅に居座る彼の影が消えなくて、それからずっと胸が苦しかった。
そして今、彼女は元夫のロリーが社長を務める会社を訪れた。
もし彼と再会しても冷静でいられたら、私はつらい過去を乗り越え、
新しい未来に向かって歩きだせると思えるはずだから。
けれど、事業に成功して確かな自信をまとったロリーを見たとたん、
ジョアンナの胸は情けないほど高鳴り、頬も赤く染まった。
だが、ロリーはかつての別れ際を思い起こし、蔑むように言い放った!
「あのとき、あれほど誇り高く拒んだ金を、今さら欲しくなったのか?」
お金のために結婚したのでも、離婚したのでもないと答えたジョアンナが、別の人と再婚すると知らせたとたん、ロリーの顔色が一変。「ぼくをもう愛していないかどうか知りたいなら、はっきりさせてあげるよ」そう言って、彼は巧みに元妻の唇と理性を奪って……。