地球46億年の歴史の中で,多種多様な動物が進化し,現在も日々さまざまな分類群で新種が発見されている.動物の多様性を理解することは,生物学の基本であると同時に,今日的な応用分野の問題に対しても重要である.
分子生物学の発展により,動物の系統関係は大きく見直され,動物の進化の歴史の推定も高い精度で行えるようになった.本書は,分子系統学の発展を取り込んだ,大学生向けの教科書である.大きく2部構成となっており,第Ⅰ部では,分類学の歴史,分子系統と形態からみた現代の動物分類法,種というもののありかた,系統の考え方と系統樹の読み方,種分化を促進する地史的イベント,地球と日本列島の生物相の成立などを解説する.第Ⅱ部では,それぞれの動物門について,形態的特徴,系統と分類,生殖・発生・生活史,生態を紹介する.
さらに,オンライン付録では,普段は目にすることの難しい動物の姿を写真や動画で見ることができる.社会と関連する話題や,系統進化学的ポイントの解説,各動物の特徴や生態についての演習も充実しており,講義の予習や自習に役立つ.