本書は,1階Hamilton‒Jacobi方程式の理論に関する多くの重要な話題を広範に取り扱い,特に現代的なアプローチや視点に重点をおいた入門書である.まず,1階Hamilton‒Jacobi方程式に関する粘性解の基礎的理論を解説し,その適切性を取り扱う.続いて,1980年代からとても活発な研究対象であるにもかかわらず,これまで標準的な教科書には述べられていなかった均質化理論について詳しく論じる.
その後,解の力学的性質であるAubry‒Mather理論と弱Kolmogorov‒Arnold‒Moser(KAM)理論を取り扱う.これらの理論を述べるにあたっては力学的アプローチと偏微分方程式的アプローチの両方を紹介する.また均質化理論と力学的解釈との関係や最適収束率についても論じる.