序 章 地域ベ平連研究の意義・視座・課題(市橋秀夫・大野光明・平井一臣)
1 ベ平連運動と地域
2 地域ベ平連とは
3 ベ平連研究・地域ベ平連研究の進展
4 地域ベ平連研究会の方法と成果
5 問いの広がり
6 残る課題
第1章 「ベトナムに平和を!」神戸行動委員会からベ平連こうべへ――神戸のベトナム反戦運動八年の経験(黒川伊織)
1 「神戸港は南シナ海に通じ、太平洋西岸に通じる」――ベトナム反戦運動の発火点・神戸
2 北爆の開始とアメリカ領事館前での座り込み
3 運動の担い手たちの合流
4 「多様性のなかの統一」
5 「ベトナムに平和を!」神戸行動委員会の誕生
6 「日本のなかのベトナム戦争」――神戸行動委員会からベ平連こうべへ
7 地域の差別問題との出合い
8 朝鮮問題に向き合う
9 ベ平連運動の変容
第2章 ベ平連運動における地域の「発見」――千葉ベ平連と三里塚闘争の出合いを手がかりにして(相川陽一)
1 ベトナム反戦運動を通して地域をみつめる
2 千葉ベ平連の概要
3 千葉ベ平連の結成
4 地元地域で運動を立ち上げる困難
5 運動課題の重層――「ベトナムよりも遠い三里塚」の「発見」
6 運動の沈潜と静かな持続――運動の担い手の交代
第3章 沖縄ベ平連と反安保連合――一九六〇年代後半の沖縄をめぐる政治・運動の変化のなかで(大野光明)
1 沖縄でのベ平連運動を考えるために
2 沖縄とベトナム戦争
3 沖縄ベ平連の結成と発展、そして停滞――一九六六~一九六八年
4 ベ平連運動の再開と反安保連合――一九六九~一九七二年
5 ベトナム戦争と復帰の乗り越え
第4章 ベ平連にとっての「一九六八年」――福岡と北九州(市橋秀夫)
1 問題の背景と所在
2 九州北部地方の軍事的地理環境――米軍基地の諸相
3 福岡ベ平連の結成
4 弾薬輸送阻止闘争への参加――反戦青年委員会と福岡および北九州のベ平連
5 九州北部のベ平連と一九六八年
第5章 キャラバンからみる地域ベ平連――全国縦断日米反戦講演旅行から九州キャラバンへ(平井一臣)
1 ネットワーク運動としてのベ平連運動
2 全国縦断日米反戦講演旅行の企図
3 六九年二月の全国懇談会
4 九州キャラバン
5 九州キャラバンの特徴
6 キャラバンとベ平連運動
第6章 ベ平連と女たち――結成期の長崎ベ平連を中心に港 那央)
1 ベ平連研究とジェンダー
2 記録されなかった女たちの闘争――佐世保闘争から長崎ベ平連結成へ
3 差し替えられた代表者
4 デモからの排除
5 女性たちの思想と行動を掘り起こす
第7章 「反戦のための万国博」にみる地域ベ平連(大野光明)
1 「ハンパク」をつくった地域ベ平連
2 南大阪ベ平連――大阪・阿倍野の路上に集まった若者たち
3 ハンパクの発案
4 ハンパクの準備過程と地域ベ平連の躍動
5 地域ベ平連がつくりあげた解放区と対立
6 ハンパクにあらわれた力と困難な問い
第8章 初期『AMPO』からたどる「国際連帯」の展開――一つの「ポスト・ベ平連」運動史(松井隆志)
1 問題意識――『AMPO』に何を見るか
2 前史――『AMPO』はいかに準備されたか
3 船出――「日本のニューレフトからの報告」
4 展開――PARC創設へ
5 初期『AMPO』から見えること
第9章 ベ平連の「アーカイブズ」再考――残されたもの、そしてこれから(平野 泉)
1 運動の「資料」、運動の「アーカイブズ」
2 概念・用語について
3 ベ平連グループのアーカイブズ資料――「有機的総体」を語ることの難しさ
4 神楽坂ベ平連グループ・アーカイブズ資料の「記録性」
5 ベ平連/運動アーカイブズのこれから――結論ではなく
補 論 現代史研究の方法と資料について――執筆者による討議
コラム
1 いわゆる〈東京ベ平連〉の名称に関する覚書(関谷 滋)
2 大都市圏の地域ベ平連(高木恒一)
3 止めよ戦車!救えベトナム!――相模原の戦車闘争に寄せて(宮本 皐)
4 クレイグ・アンダーソン――「愛国的脱走兵」として生きぬくということ(平田雅己)
5 アジアとの出会い(市橋秀夫)
6 ベ平連研究におけるオーラルヒストリーの可能性――ジェンダー視点からの一試論(港 那央)
あとがき
索引