『歴史の見方・考え方大学で学ぶ「考える歴史」』の第2弾。
今回は、さまざまな歴史記述の根拠となる、史料の読み取り方・留意点に重きを置き、そこから歴史をどう捉えていくのか、見方・考え方を12の例でレクチャーする。
わたしたちが普段目にする小説やマンガ、ドラマなどの「歴史もの」において、そのストーリーは完全な創作を除けば、何らかの根拠をふまえて描かれている。教科書や概説書などがそのベースになっているとしても、それらも研究書、学術論文などに根拠を求めている。そしてそれらを書く研究者たちが情報源とする、一番根底にあるものが「究極の情報源」ともいえる「史料」である。
さまざまな性格をもつ史料をそれぞれどのように検討して歴史を考えていけばよいのか。歴史学者の研究の手の内をみせながら、一緒に体験してもらうようなイメージでその手法を紹介する。
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目次
はじめに
第Ⅰ部 古代
視点1:古代ギリシアのスポーツ事情 「断片」史料の見方 佐藤昇
視点2:史書・伝承・史実 5世紀の倭王と地域 古市晃
視点3:ある公主の不運 中国唐代の和蕃公主 村井恭子
第Ⅱ部 中近世
視点4:女奴隷から女王へ 中世エジプトの女王について年代記,地誌,文書,貨幣,碑文から考える 伊藤隆郎
視点5:中世地中海の人の移動 ジャコモ・デ・ボカシオの遺言書を手がかりに 髙田京比子
視点6:中世の武士の「家」意識 『難太平記』を読む 市沢哲
視点7:王母カトリーヌ・ド・メディシスの書簡が語ること フランス宗教戦争の只中で 小山啓子
視点8:ジャハーンギールと『ジャハーンギール・ナーマ』 ムガル帝国君主が書いた歴史書 真下裕之
第Ⅲ部 近現代
視点9:嘉慶の宗教反乱はなぜ「白蓮教徒の乱」と呼ばれるに至ったか 歴史の記憶を塗り替えた史料をめぐって 緒形康
視点10:検閲からみる1920年代日本の社会 「検閲」の資料学 吉川圭太
視点11:KGBが捉えた「民意」 民情報告書の読み解き方 ウクライナ西部の場合 藤澤潤
視点12:地域歴史資料のもつ豊かな役割 阪神・淡路大震災から考える 奥村弘
おわりに
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〈編者〉
佐藤 昇 (神戸大学大学院人文学研究科 教授)
〈著者〉
神戸大学文学部史学講座
古市 晃 村井 恭子 伊藤 隆郎 髙田 京比子 市沢 哲 小山 啓子 真下 裕之 緒形 康 吉川 圭太 藤澤 潤 奥村 弘