まえがき
第一章 直立二足歩行とホモ・ロクエンスの誕生
Ⅰ 人間言語の起源と進化
Ⅱ 身体機能の記号化――直立二足歩行がもたらしたミュータント(1)
工作するヒトへ――四肢から手と足への機能分化/ジェスチャーを工作する/表情を工作する/概念を工作する
Ⅲ 言語器官――直立二足がもたらしたミュータント(2)
言語音の生成と加工/言語音の受容と認知
Ⅳ 脳内に潜むホモ・ロクエンス
第二章 ホモ・ロクエンスの言語をめぐる所感
Ⅰ 人間言語とはなにか
Ⅱ 人間言語の諸特性
二重性/恣意性/生産性/超越性/抽象化/否定/階層性/統語規則と再帰性
Ⅲ 団欒の言語
肉声に寄り添う/言語を受肉させる
Ⅳ 声の視覚化により失われるもの
第三章 記号と図形が領有する世界
Ⅰ 事物世界の言語化と領有
命名と領有(1)――異郷の攻略/命名と領有(2)――アイヌ民族の場合
Ⅱ 文字と領有
文字――音声の視覚化/視覚化された声の運搬
Ⅲ 活字の誕生
肉筆文字の規格化/活版印刷の組み合わせ術/活版印刷術がもたらしたもの
Ⅳ 地図と領有
世界を帳面に/地図化による領有/時の計測と領有
Ⅴ 言語と地図
言語/文化の研究が意味するもの/計測と地図化がもたらしたこと
Ⅵ 抽象化について思うこと
第四章 学都アレクサンドリア、そしてライプニッツの図書館へ
Ⅰ 図書館とは?
Ⅱ 古代学術都市の諸様相
港湾都市――物と人と知の流通インフラ/学都の誕生と発展/カリマコスの文献目録(ピナケス)――言葉と書物の組み合わせ術/文献学――論理と言語を愛する基礎科学/学都の知財の蓄積と消失
Ⅲ ライプニッツの図書館構想
ガブリエル・ノーデの図書館論/知を体現する図書館の設計/人知の要塞――魂と肉体のペンタグラム/場所記憶術と思考の建築/ライプニッツの造園思想と哲学の図案化
Ⅳ ライプニッツの図書館改革
ライプニッツの図書分類について/百科事典――事物の秩序と存在の目録/「生きた図書館」のもう一つの相/「自然と人工の劇場」としての図書館
Ⅴ 諸学・諸技芸の実験室としての図書館
第五章 〈ロンドン王立協会〉と言語・機械的知性
Ⅰ サミュエル・ピープスの『日記』と人工言語
Ⅱ 〈王立協会〉と哲学言語
暗号と人工言語の時代/概念の「見える」化――ウィルキンズの事物記号/物品目録システム?
Ⅲ 人と知の流通と混交
コーヒーハウスで活性化する知/観察と機械がひらいた新世界/工作と芸術
Ⅳ 機械の驚異と数学的魔術
第六章 ポール・オトレと〈ムンダネウム〉
Ⅰ 〈ムンダネウム〉の構想と設計
Ⅱ オトレの普遍情報学
オトレの書誌学思想の萌芽/デューイ十進分類法との出会い/普遍十進分類法と意味のアルゴリズム/普遍書誌総覧――膨れ上がる情報と知の再編/「本についての本」とモノグラフ原理
Ⅲ 新しい情報メディアと人知の拡張――印刷媒体を超えて
リーブル・ミクロフォトグラフィーク/本の科学とドキュメンテーションの拡張
Ⅳ 普遍知ネットワークの構築へ向けて
〈ムンダネウム〉の終焉/戦争と平和の構想をめぐって
V H・G・ウェルズの「世界脳」構想
恒久平和のための世界百科事典/早すぎた知のグローバル・ネットワーク
Ⅵ ケッルラ=ムンダネウム
第七章 「リアル」と「ヴァーチャル」の狭間で
Ⅰ 知識の分類と書誌目録
Ⅱ 知のヴァーチャル化をめぐって
OPAC雑感/ヴァーチャルな知識空間/インターネットの混沌と無秩序の妙/地球図書館化の夢/ヴァーチャル・エンサイクロペディアの時代
Ⅲ 情報化時代の道具たち
言語生成AI(チャットGPT)の登場/チャットGPTの語用論/ヴァーチャル・スペースのコミュニケーション/スマートなてのひら研究室?
Ⅳ 身体・感覚の「リアル」に
第八章 精神を高揚させるメディアとしての博物館
Ⅰ 展示空間と回遊
Ⅱ 事物の空間を巡る
集められる物と分類知――博物館バックヤード訪問/物性と照明のハーモニー
Ⅲ 五感回遊――「感覚ミュージアム」の場合
感覚により織りなされるもの/感覚展示のゾーニングと回遊/味覚について思うこと/小物の収納・展示に高揚する
Ⅳ 香りの結合術――「大分香りの博物館」の場合
香水と小瓶のメディア的効果/香りのヒストリーとケミストリー
Ⅴ 薫物と組香――もう一つの香りのケミストリー
薫物――仏事から芸道へ/組香――香りの結合術
Ⅵ 展示空間から生起するもの
鈴木大拙館訪問/結合術としての回遊/事物世界に生きること/水鏡の庭に憩う――映し合う我身と世界
Ⅶ そぞろ歩くホモ・サピエンス
あとがきに代えて――ホモ・ロクエンスに生まれて