「税金も国債も使わず、全国民に毎月10万円を支給できる」――そんな大胆な提案を、経済とテクノロジーの両視点から現実的に描いたのが本書です。
著者・つじ健太郎は、自身が路上生活を経験した若き経営者であり、ベーシックインカム実現のために立候補し続ける政治活動家でもあります。
本書では、過去の経済史と現代の金融構造を詳細に分析しながら、国民生活がなぜ豊かにならないのかを根源から解き明かします。特に「金融資本主義によるブラックホール構造」――政府が支出しても資金が国民に届かず、金融市場に吸い上げられてしまう仕組みを指摘。その上で、テクノロジーを活用した新しい通貨制度「減価するデジタル通貨(CBDC)」によるベーシックインカムを提案します。
このシステムは、投資や投機には使えず生活にのみ使用できる「使途限定通貨」、そして時間とともに価値が少しずつ減る「減価通貨」の2つの特徴を持ち、国債や税金を財源とせずに全国民へ恒久的に給付することを可能にします。
さらに世界各国のベーシックインカム実験(フィンランド、米国ストックトン、ドイツ、カナダ、アラスカなど)を引用し、「人はお金をもらっても怠けない」「幸福度・雇用の質が上がる」というエビデンスを提示。日本がこの仕組みを導入した場合の経済効果やGDP押し上げの試算も示されています。
「国民全員に毎月10万円」は夢物語ではなく、最新のデジタル金融技術と経済理論によって実現可能である――本書は、令和日本における“お金の再発明”を描いた、社会変革のための一冊です。