日本語版序文
プロローグ
第 一章法市場、性犯罪加害者を支援する
第一節性犯罪専門法律事務所の登場
法律市場の開放と競争の深化
法律事務所によって企画される性暴力逆告訴
第二節性暴力をめぐる法・制度の変化と性犯罪専門法律事務所の拡散
加害者厳罰主義の逆説
「存在するが存在していないに等しい」被害者の法律支援制度
性暴力事件解決の司法化
第 二章お疲れでしょう? 減刑コンサルティングをしてさしあげます。
第一節性犯罪専門法律事務所が発明した減刑と無罪の技術
示談確率を高めるための「ジェントルな」提案
減刑のための「真摯な反省」
社会的紐帯関係が明らかな加害者を構築する
選択的無罪戦略
第二節性犯罪専門法律事務所によるオンライン加害者コミュニティの運営
情報と連帯に満ちたオンライン加害者コミュニティ
強調される悔しさと操作される自筆口コミ
専門化する加害者支援産業とカルテルの構築
第 三章性暴力被害者、法廷に立つ
第一節権利から責任へと再構成される「新被害者論」
性的自己決定権の誤読 ─ 女性の能力に対する逆説
新しい被害者言説
第二節被害者と認められるための「再被害者化」
被害を立証するための証拠としての苦痛
正解が決められた被害者感情
コントロール困難な金銭的補償過程
第三節逆転される被害者の位置性と法的従属化
逆告訴に抗する被害者の位置性
長期化する訴訟と従属される法的過程
第 四章性暴力事件の解決とはなにか
第一節法・制度が管理する性暴力
司法手続きから抜けおちる性暴力被害
処罰と治癒を担保できない司法手続き
管理される女性団体と保守化される言語
第二節性暴力事件の解決をめぐる意味の再構成
非司法的解決の条件
状況を主導する時に可能な治癒と回復
繋がっていることを自覚する過程で構成される政治的責任感
社会構造的変化のための闘い
第 五章「性暴力の政治」の再構成のための提案
第一節理論的提案
「政治的なもの」としての性暴力
被害者感情の政治化
連帯の責任の言語
フェミニズムの政治の公共性
法の再想像化と批判的再想像
第二節実践的提案
エピローグ
謝辞
付録1 研究参与者リスト
付録2 分析対象判決リスト
訳者あとがき