新潟県白根町(現新潟市)に生まれた尾竹越堂(おたけ・えつどう1868~1931)、竹坡(ちくは1878~1936)、国観(こっかん1880~1945)の三兄弟は、文部省美術展覧会を皮切りに明治から昭和にかけてさまざまな展覧会で成功を収め、まさに「展覧会芸術の申し子」として近代日本画史にその名を残しました。しかしながら、時に実験的ともいえるラディカルな表現を試み、また時にエキセントリックな生き方を貫いた尾竹三兄弟は、世間から褒めたり貶したり毀誉褒貶にさらされ、美術史の語りからこぼれ落ちていきました。展覧会制度の光と影のなかで、新しい日本画の可能性を示した彼らの革新的かつ魅力にあふれる作品は、きっと今の私たちの眼にも新鮮に映るはずです。本書は、尾竹三兄弟を紹介する初めての作品集です。彼らの重要作をはじめ、多数の新出作品や未公開資料から、知られざる尾竹三兄弟の人と作品をご紹介します。展覧会制度のなかで躍動した三兄弟の作品を集成することで、展覧会芸術の到達点をご覧いただけるはずです。尾竹三兄弟の革新的な日本画の世界は、きっと読者の度肝を抜くことと思います。ぜひご堪能ください。