「ローラープリントテキスタイル(銅ローラー捺染)」は産業革命によって生まれた機械刷りの布の総称です。マンチェスターを中心に後年日本やドイツでも生産されるほど、当時としては革新的な技術を用いたこの魅力ある布は、16世紀には世界中の羨望の的であったインドのテキスタイルとそれに携わる職人たちを脅かす存在でもありましたが、いまではアンティークとなり、当時の流行や美意識、技術革新の歴史が読み取れる貴重な資料でもあります。本書ではインド・ラージャスターン州ジャイプルで長年アンティーク商を営むサバーシュ・シャルマとジャティン・シャルマ親子の膨大なコレクションから、選りすぐりの美しく貴重なテキスタイルをご紹介します。インドの研究者・キュレーターのプラモド・クマール KG、イギリスで長年テキスタイルについて幅広く研究を続けるフィリップ・A・サイカスによる解説付き。
*全文日本語・英語併記。
〈著者プロフィール〉
ジャティン・シャルマ(Jatin Sharma)……アパレルプロデューサー、コレクター。父と叔父が設立したインド、ジャイプールのアンティークショップ「ラージャスターン・ファブリックス・アンド・アーツ」で17歳の頃から学び、インドの伝統的な手仕事や民族衣装の美しさを現代の解釈でリバイバルさせたいと2005年に自身のアパレルブランド「サタヤム・ガーテックス」を設立。インド国内だけでなく、欧米や日本でも展開している。