精神分析はトラウマ問題をどのように理解し,どのような臨床アプローチをしていけばいいのだろうか。本書では,個人の主観性の理解を通した援助をしてきた精神分析が,より広く社会と個人との関係を扱い,クライエントとともにトラウマ経験の意味を問い,主体性の確立を目指す立場が貫かれる。
精神分析がトラウマの問題にどのように貢献し,またしうるのかという問いをめぐる論考による第?部,被虐待経験や発達障害を持つ人への精神分析的心理療法の実践を収めた第?部から,いじめ・犯罪被害・災害という現代の社会問題にみられるトラウマに対する精神分析的アプローチを示した第?部までを通して読むことによって,従来の精神分析の知見をブラッシュアップし,トラウマ臨床の新たな視点を得られるであろう。
巻末には関連用語の解説を付し,精神分析に馴染みのない読者や初学者にも読み進めやすい一書となっている。
執筆者一覧
福本 修(代官山心理・分析オフィス)
森 茂起(甲南大学)
平井正三(御池心理療法センター)
西村理晃(19 Bloomsbury Square Psychoanalysis and Psychotherapy)
吉岡彩子(御池心理療法センター/認定NPO法人 子どもの心理療法支援会)
上田順一(横浜思春期問題研究所)
櫻井 鼓(追手門学院大学)
堀 有伸(ほりメンタルクリニック)