現代生命科学においてライブイメージングという言葉は聞かない日がないぐらい一般的かつ重要な手法となっている。
その一方でイメージングで得られたデータの「解析」について解説している書籍はほとんど見かけず、
「すばらしい顕微鏡画像が撮れたが画像解析で困っている」という声を聞くことも多くなった。
このような背景をもとに、生物画像解析のフリーソフトウェアImageJを題材として
月刊誌「細胞工学」にて2013年12月号から2015年3月号の間「ImageJ定量階梯」という連載を実施。
本書はこの連載をもとに2016年現在の状況をアップデートし新たに書き下ろした内容を含め再構成したものである。
想定する読者としては主に大学院生や生物画像解析を始めたての人を念頭に執筆されており、
原理や解析における注意点、処理の理由、実践的な技術を専門知識がない初学者にもわかるように記述することを心がけた。
特に、身近に生物画像解析を行っている人がいなくて相談する人が誰もいない状況でも役に立つ書籍となることを目指している。
本書ではImageJの文化的な部分も自然に触れているのでプラグイン開発などに積極的に関わりたい場合は有用な情報が見つかるかもしれない。
【目次】
第1章 ImageJとは
1)生物画像定量とImageJ
2)解析の準備
第2章 画像データの性質
1)画像から数値へ
2)数値から画像へ
3)画像のファイル形式
4)多次元画像とその取り扱い
第3章 画像の領域分割
1)測定対象の特定
2)分節化と画像演算
3)二値化前のフィルタ処理
4)二値化後のフィルタ処理
第4章 画像解析の実際
1)形態の定量・形状の検出
2)3Dデータにおける形態解析
3)輝度の経時的変化の測定
4)位置の経時的変化の測定
5)形態の経時的変化の測定
6)位置・輝度・形態の複合的な経時的変化の測定
7)解析のための画像データの取り方・選び方
第5章 ツール開発を含めた解析へ
1)公開プラグインを用いた画像解析: LPXプラグイン集
2)プラグインによる自分専用解析ツールの作成:自動輝点追跡ツールPTAを例に
3)ImageJマクロの書き方
4)ImageJ派生プロジェクト
■付録
1)Fijiのインストールなどに関する情報
2)[Set Measurements…]の測定項目
3)μManager体験
4)ImageJ/FijiのGUIの図解
5)生物画像解析用語・日英対応表