中国人画家・王希奇(ワン・シーチー)の油絵『一九四六』(いち・きゅう・よん・ろく)は、観る者を圧倒する力を持つ。縦3m・幅20mに及ぶ大作には、黙々と歩みを進める葫蘆島(ころとう)からの日本人満洲引揚者、数百名余りが描かれ、その一人ひとりに作者の思いが宿る。
一方は旧満洲で生まれた後に日本に引揚げ、他方は在所で育って詳細を知ることのなかった二人が、この絵に衝撃を受けて交流し、それぞれの実体験をもとに、不戦と平和への思いを綴る珠玉のドキュメンタリー。
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*帯に『一九四六』を語る加藤登紀子さんの言葉
引揚げてきた人たちの姿があふれるほどの存在感で描かれていて衝撃を受けました。すべてが本当に起こった出来事だったということを感じていただけたらと思います。
ロシアによるウクライナ侵攻についての歌、「果てしなき大地の上に」は、この絵から着想を得て作ったものです。
「♪何のために 誰のために 繰り返すのか 戦争を NO War! NO! Forever」
(加藤登紀子 ハルピン生まれ 2歳の時に葫蘆島港から引揚げ、本文中から)