書かないことで文学を生き抜いた詩人、白石(ペクソク)
北朝鮮で詩人としての道を断たれた白石の後半生を、現代韓国文学を代表する作家がよみがえらせた長篇作。
許文学作家賞受賞作
「あなた、もう死んだ人。
その冬の谷間であなたも凍りつき、あなたの歌も凍りついた。
でも、春に私はたしかに聞いた。あなたの歌を」
望んだけれど叶わなかったこと、
最後の瞬間にどうしても選択できなかったこと、
夜な夜な思い出されることは、ことごとく物語になり小説になる。
「夜は昼のように、昼は夜のように。水は火のように、火は水のように。
悪が善になり、善は悪になる。
その廃墟を見つめること、それが詩人のすること」
伝説の天才詩人、白石が筆を折るまでの七年間