始まりはマッキントッシュに映し出された1枚の版画だった。
取材で浮かび上がる、銀座の画廊で木版画を買い集め、京都で陶器を慈しむ、誰も知らないジョブズ。こだわり、行動様式、そしてデザイン哲学。かつて親しく接した日本人、アメリカの親友や盟友を探し出し取材を重ね、日本に学んだジョブズの姿を明らかにする決定版ノンフィクション。ジョブズの美意識の原点は、日本の新版画と焼き物にあった!
大反響だったNHK番組「日本に憧れ 日本に学ぶ~スティーブ・ジョブズ ものづくりの原点~」にいたる8年間の取材をもとにした、ジョブズと日本との知られざる結びつきを解き明かす渾身の記録。
“これは、どう考えたって、変な組み合わせだ。
映像には、1984年1月30日、ステージに姿を現したスティーブ・ジョブズがいた。ただ、僕の視線が集中したのは、ジョブズではなく、スクリーンに映し出された1枚の絵だった。数秒現れたのは、流れるような黒髪をくしでとかす浴衣姿の妖艶な日本人女性。その絵は、「新版画」と呼ばれる日本の木版画をスキャンしたものだった。
ジョブズは会社の命運を賭けて、最先端のテクノロジーを華々しくデビューさせた。その場に、なぜ、この絵を使ったのだろうか? この絵を使う必然性はあったのか?”(「はじめに」より)