本書は、デザインスクールの世界的名門・ミラノ工科大学のデザイン学部長が編纂した、ストラテジックデザインの学術的・実践的知見に基づく初の書籍です。
「ストラテジックデザイン」とは、人間・社会・環境を結び直し、未来を構想する、戦略的なデザインの営みと実践です。従来のデザインの定義を超えて、医療・教育・気候変動などの⼤局的なシステム上の課題にも対応し、問題へのアプローチ⽅法を再定義し、⾏動の機会を特定し、意思決定のプロセスに貢献します。
本書ではストラテジックデザインがミラノ⼯科⼤学でどのように発展してきたかを辿りながら、その実践、⼿順、ツールを体系的に整理するとともに、多様な適⽤事例を探求しています。序文はロベルト・ベルガンティが執筆。日本語版は九州大学大学院芸術工学研究院ストラテジックデザイン部門で助教授を務める羽山康之氏による翻訳+書き下ろしの新章を収録し、入門書にふさわしい内容に。事業開発、社会変革、デザイン経営、アントレプレナーシップを促進したいすべての人たちへ贈る、理論と実践の手引きの書です。
<推薦コメント>
企業とデザイナー、社会とデザイナーの関係性を人・事業・環境という視座から捉えた本書は、次世代のグローバルデザイン組織をリードするための多くの示唆を提示している。「ストラテジックデザイン」は、企業がデザインの価値を最大化していく上で、今後ますます重要なドライバーとなるだろう。
──石井大輔(ソニーグループ株式会社 クリエイティブセンター センター長)
デザインとはもはや、社会・環境・事業や組織、そして人間活動にいたるまで、その表層的現象の裏にある深淵そのものに迫るアプローチであり、そこから未来に向けて再編、再構築、再創造を行うための唯一無二の手段である。本書が、単なるアイデア発散や短絡的イノベーションといった類、あるいはその手段として誤解されることもあったデザインに対して、未来変革へ向けた最重要な戦略と位置付けられることへのエンパワーメントとなることを期待する。
──野崎 亙(株式会社スマイルズ 代表取締役社長 兼 CCO)
ストラテジックデザインは、未来の地図そのものを描き換える実践であり、既存の地図を読むデザイン戦略とは位相が異なる。ミラノ学派が描くこの視座は、かつてのイタリアンデザインへの憧憬を鮮やかに更新し、日本のデザイン観に新たな地平をひらく。
──八重樫 文(立命館大学 経営学部/デザイン・アート学部 教授)
米国の大学が中心になって提案された「デザイン思考」は世界中に大きな影響をもたらしたが、20年あまりが経過し、企業経営の中でのその現在位置が再検証されつつある。世界のデザイン学研究において長くリーダー的立場にいるミラノ工科大学の研究者たちはこの問題をどう捉えているのか。それがわかる一冊である。
──鷲田祐一(一橋大学大学院 経営管理研究科教授)