本書は、歴史知研究会設立25周年を記念して編まれた星たちである。四半世紀という時間に注目しよう。その長さは独特だ。それは、故人を知る者の何割かが死に、何割かが残り、彼をまったく知らぬ者が生まれその最初の者たちが彼について何事かを語りうる年齢に達するという時間である。はからずも、本書は四分割の星座群をなす。
設立当初、石塚と杉山以外は、学部生や大学院に入ったばかりという若い人たちで構成されていた 研究会も、その後に知り合いの研究者や、年を経て研究者として自立した方々などが加わり、厚みを増していった。しかも、巻末の 略歴をご参照いただきたいが、石塚と杉山などのような歴史や思想を 専門とするもの以外に、社会学や文学、心理学やその他広範な社会科学を専攻する皆さんが加わり、毎回多種多様な主題の発表、思わぬ方向からの質問 など、専門性の枠を越えて新たな知の構築を目指した研究会の使命にかなう 活動が実現できたのではないかと思う。