2023年・2024年の春季労使交渉・協議では、物価上昇や人材確保への対応を契機として、約30年ぶりとなる高水準の賃金引上げを記録しました。2025年の春季労使交渉・協議は、ここ2年間で醸成されてきた賃金引上げの力強いモメンタムを社会に「定着」させ、「分厚い中間層」の形成と「構造的な賃金引上げ」の実現に向けて、極めて重要な局面で行われます。各企業においては、「賃金・処遇決定の大原則」に則り、賃金引上げはコスト増ではなく、企業の生産性の改善・向上に不可欠な「人への投資」との認識に立った積極的な検討・実行が求められています。
こうした課題認識の下、2025年版「経営労働政策特別委員会報告」(経労委報告)では、2025年春季労使交渉・協議における経営側の基本スタンスに加え、賃金引上げの原資の安定的確保のために不可欠な「付加価値の最大化」を図る「働き方改革」の深化や、「DEI」のさらなる推進・浸透、「自社型雇用システム」の確立等を通じた生産性の改善・向上の方策について取り上げています。あわせて、「中小企業における生産性の改善・向上事例」「デフレ経済の振返り」や「中小企業の賃金に関する現状と課題」「実質賃金の国際比較」「わが国における生成AIの活用状況と課題」など、春季労使交渉・協議に関連するトピックスについても解説しています。
今次春季労使交渉・協議における経営側の指針書としてご活用ください。