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太宰治のエディターシップ

太宰治のエディターシップ

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商品説明
太宰治の作品は、さまざまな〈引用〉のモンタージュによって成立している。そして、そうした太宰の作品を複数読むことによって、読者の欲望は太宰治という作家それ自体へと向かうようになる。いわば、太宰治の全作品が〈太宰治〉を形成するモンタージュとなっているのだ。本書は、そうした仕組みがどのように形成されてきたのかを探るとともに、太宰作品の多面性をも明らかにすることとなるだろう。
目次
序章 太宰治のエディターシップ

Ⅰ 引用/断片

第一章 立身出世と「あんま」―「思ひ出」
一、「思ひ出」を歴史的に読むということ
二、変化する〈故郷〉と家族
三、セクシュアリティと主体化
四、さまざまな逸脱の徴候と〈真理〉の探究
五、〈母〉への遡行

第二章 断片とモンタージュ、或いはアレゴリー化する近代―「富嶽百景」
一、見るということ
二、新しい〈リアリズム〉の希求
三、アレゴリーとしての富士
四、映画という〈遊動空間〉
五、断片が浮遊する

第三章 ある少女の「自分一人のおしやべり」が活字になるまで
―「有明淑の日記」と「女生徒」
一、「女生徒」の元となった日記
二、豊田正子『綴方教室』と『婦人公論』
三、「女学生」と「女工」
四、「不良女学生」という言説
五、「事実」とフィクション
六、戦時下の「自分一人のおしやべり」

第四章 読者からの手紙/作者からの手紙―「水仙」を中心に
一、太宰治と〈手紙〉
二、「忠直」としての「僕」
三、届けられる〈真実〉
四、手紙と筆談
五、水仙の絵

Ⅱ 戦争

第五章 戦時下における〈信〉という問題系―太宰治と戦争
一、〈信じる―信じられる〉―関係性
二、主体性を超えるものとしての〈信〉―超越性
三、〈信〉と〈不信〉のあいだで

第六章 禁止と奨励―『右大臣実朝』
一、表層/深層
二、禁止/奨励
三、戦時下の噂と検閲
四、〈意図〉と〈意味〉

第七章 ネイションをめぐる旅―『津軽』
一、〈故郷〉と旅人
二、「大人」=「都会人」からの脱却
三、風景論
四、「無憂無風の情態」

Ⅲ 男/女

第八章 滑稽な〈男〉たちの物語―「パンドラの匣」
一、〈嵐の夜の場面〉
二、「君」に宛てられた言葉
三、「新しい男」と女たち
四、〈他者〉としての〈女〉

第九章 エクリチュールと「革命」―「斜陽」
一、「あ。」の反復
二、〈書くこと〉と〈読むこと〉の交錯
三、「黄昏」と「朝」
四、「私」の変貌

第一〇章 「自画像」と他者からの眼差し―「人間失格」
はじめに
一、太宰治と大庭葉蔵
二、〈引用〉の諸相
三、「人間」と「女」
四、読み返され続ける「人間失格」

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