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小説史の十七世紀論

小説史の十七世紀論

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商品説明
従来の近世文学史観を、いかに転換するか。未熟から成熟へ、すなわち古典(前近代文学)が近代文学へ発展する過度的段階として近世文学を位置づけるという発展型文学史観に替わるパラダイムは何か、を追究する。古典文学作品が印刷メディアによって、人々に読みうるようになった時代、仮名草子・浮世草子などの17世紀小説はどのように成立したのか、メディア史的視点を踏まえつつも、西鶴作品などの具体的な作品から小説史自体を総括する。
目次
序章 近代初期(近世)文学史論序説―十七世紀文学の座標軸―
一、文学史の「個性」
二、土台としての文化
三、出版メディアの成立
四、地域性と流通形態
五、「様式」の錯交的展開
六、「笑い」のコンテクスト
七、近代初期文学

第一章 十七世紀小説のジャンルと様式
一、「仮名草子」をめぐって
二、ジャンルの錯交、様式の多様化―『市野谷物語』を例に―
三、遊女評判記の文芸化―『傾城百人一首』を例に―
四、大本型・半紙本型浮世草子―「西村本」を例に―
五、おわりに

第二章 パロディと出版文化
一、出版文化の位相
二、パロディの構造
三、『伊勢物語』のパロディ
四、『好色一代男』におけるパロディ
五、西鶴俳諧におけるパロディ

第三章 十七世紀文芸にみる「治癒」―旅・隠栖・共同体―
一、問題提起
二、中世的「治癒」の変質
三、誹諧師の旅
四、「世之介」の旅
五、隠棲
六、近世庶民の「治癒」

第四章 「源氏」受容の諸相
一、はじめに
二、『源氏』への憧憬
三、サブカルチャーとしての『源氏物語』
四、『奥の細道』『挙白集』の『源氏』受容
五、『世間娘容気』の紫式部
六、おわりに

第五章 「俳諧的」の小説―『好色一代男』における俳諧性と小説―
一、詩と小説との架橋
二、コンテクストの複綜
三、「軽口・大笑い」の俳諧と小説
四、「はなし」と俳諧

第六章 『好色一代男』の文体と作品構造―テキストに内在する「はなし」―
一、創作と鑑賞のトポス
二、テキストに内在する「はなし」
三、俳諧的小説
四、作者と「はなし手」
五、会話文体

第七章 その後の「世之介」―好色本・春本のセクシュアリティと趣向―
一、好色本の流行
二、江戸市場と好色本
三、文化史から見た好色本・春本
四、その後の「世之介」
五、好色本・春本の趣向

第八章 西鶴から桃林堂へ―十七世紀小説文体論序説―
一、はじめに
二、俳諧的叙述
三、俳文から小説へ
四、『武道色八景』

第九章 西鶴と其磧―「模倣」の美学―
一、はじめに
二、作者の「創作」概念
三、メディアの成熟と「知」の多様化
四、模倣の「趣向」化
五、「剽窃」の文体
六、まとめ

第十章 十七世紀「武士道」の成立と「男色」
一、新渡戸稲造『武士道』
二、『葉隠』と『男色大鑑』
三、『男色十寸鏡』の男色
四、武士道の死生観
五、「情念」の武士道

第十一章 「読本」としての西鶴本―『八犬伝』表現構造への影響をめぐって―
一、問題提起
二、「現実再現」の小説様式
三、会話文の「描出力」
四、描写の視点

『武道色八景』翻刻
あとがき
初出一覧
索引
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