近代日本の親鸞には何が託されていたのか
初期水平運動・反宗教運動・転向・戦時教学・戦後仏教史学・反靖国運動、近現代日本の諸局面で構築された数多くの親鸞論。なかでもマルクス主義と交差することで、親鸞論は実に多様な展開を見せていく。
その変遷を手がかりに、「親鸞を語る」という営為が語り手にもたらした思想経験を問い、その語りをもたらした近代という時代の歴史的経験に迫る。
近現代を代表する二大思想、その結節点に初めて本格的に挑んだスリリングな思想史叙述の試み。
【主な内容】
序 章 親鸞とマルクス主義への入射角
第Ⅰ部 仏教とマルクス主義解放と阿片の間
第一章 高木顕明と初期水平運動の親鸞非戦と平等をめぐって
第二章 反宗教運動と仏教
第三章 佐野学の宗教論宗教批判と親鸞理解
第Ⅱ部 戦時日本の親鸞危機の時代との向き合い方
第四章 戦時下本願寺の聖典削除と皇国宗教化
第五章 戦後親鸞論への道程マルクス主義という経験を中心に
第Ⅲ部 戦後日本の親鸞起動する社会的実践
第六章 二葉憲香の親鸞論仏教の立場に立つ歴史学
第七章 戦後日本における反靖国運動と親鸞
補 論 近代真宗史への入射角宗教的立場と社会的立場の二元論とその超克
結 章 まとめと展望親鸞・マルクス主義・近代
あとがき
人名索引/事項索引