香月院深励の『註論講苑』を基盤に、『浄土論註』全編を再読。近代教学とは異なる『浄土論註』理解によって専修念仏・往還二回向の根源的意義を明らかにし、現実社会における救いの姿を描き出す意欲作!
《目次》
まえがき――近代教学とまったく異なる解読
◆第Ⅰ部 序編
第1章 『論註』とはどのような書物か/第2章 香月院『註論講苑』文前玄義の概要
◆第Ⅱ部 本編〈上〉――偈文の註
第3章 『論註』は『浄土論』をどう読もうとしたか――難易二道判の決定的な意味/第4章 「我一心」とは何か/第5章 はじめの一行に、礼拝・讃嘆・作願の前三念門が込められている/第6章 仏教の功徳と浄土の相――我依修多羅真実功徳相説願偈総持与仏教相応/第7章 「観」とは何か――専修念仏者にとっての観仏・観国土/第8章 極楽浄土とは何か(1)――国土の様相前半(その一)/第9章 極楽浄土とは何か(2)――国土の様相前半(その二)/第10章 極楽浄土とは何か(3)――国土の様相後半(その一)/第11章 極楽浄土とは何か(4)――国土の様相後半(その二)/第12章 極楽浄土とは何か(5)――国土の様相後半(その三)と決成/第13章 極楽とは何か(1)――住人の様態(仏荘厳その一)/第14章 極楽とは何か(2)――住人の様態(仏荘厳その二)/第15章 極楽とは何か(3)――住民の様態(仏荘厳その三) 不虚作住持功徳/第16章 極楽とは何か(4)――住民の様態(四種の菩薩荘厳)/第17章 極楽の人数とは誰か――八番問答
◆第Ⅲ部 本編〈下〉――長行の註
第18章 『論註』下巻に入るにあたって――長行を十科に分ける/第19章 「願生偈」には何が書かれているのか――願偈大意/第20章 起観生信章とは何か/第21章 その名にふさわしい讃嘆――讃嘆門(その一)/第22章 如実修行とは何か――讃嘆門(その二)/第23章 如実に奢摩他・毘婆舎那を修行せんと欲す――作願門・観察門読解/第24章 如来の回向と衆生の往還――回向門読解/第25章 観察体相章とは何か(その一)/第26章 極楽の荘厳が意味すること――観察体相章(その二) 国土の体相/第27章 天親と曇鸞の浄土観――観察体相章(その三) 自利利他を示現す/第28章 仏を見るとはどういうことか――観察体相章(その四) 衆生世間/第29章 極楽の人数であるとはどういうことか――観察体相章(その五) 不虚作住持から菩薩四種の功徳/第30章 願いをかたちで表す――願心荘厳/第31章 浄土の大菩提心とは何か――善巧摂化章読解/第32章 願いを妨げるものとその克服――離菩提障から願事成就まで/第33章 自利と利他が満足に調和する――利行満足(その一)/第34最終章 弥陀と変わらぬ力で他者を利益する希望――利行満足(その二)及び結句
参考文献/あとがき