笑えるほど滑稽で、笑えぬほど、悲惨。
現代を映す痛烈な社会派エンターテインメント。
映画『#拡散』脚本を手掛けた港岳彦による小説版
ワクチンを打った次の日に、妻が突然死んだ。
ふつうなら泣く。沈む。静かに喪に服す。
しかし、夫の浅岡信治は、妻の死の真実を求めてまずスマホを開いた。
「原因はワクチンに違いない……。」
ネット上の膨大な情報の波にさらわれた彼は、抗議活動として巨大な遺影を首から下げて病院前に立つ。
その姿はSNSで拡散し、”悲劇のヒーロー”として祭り上げられる。
悲しみはどこへやら、SNS上の見ず知らずの人たちからのコメントが、彼の心を温かく満たしていく。
しかし、信治のもとに集まってくるのは同情だけではない。
マスコミ、インフルエンサー、政治――欲望とデマが渦巻く中で、信治の運命はあらぬ方向へ転がりだす。
――あなたのSNSタイムラインにも、この物語の続きがもう流れてきているかもしれない。
小説版では、映画では描ききれなかった登場人物たちの過去や心理をより深く、緻密に描きだす。映画の世界観をさらに掘り下げ、映画鑑賞の前後どちらでも楽しめる作品。