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表現としての源氏物語

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平安京の物語の表現とは何か

つまり、平安京の物語とは、『源氏物語』をひとつの極とする一方、(互いに影響関係の希薄な)『宇治大納言物語』をもうひとつの極とするであろう。すなわち、『枕草子』が興味を示し、記録している物語の中で、(『宇津保物語』や『住吉物語』などを除いて)群小物語がひとつの核をなすまでには至らないとすれば、平安京の物語とは、そのような二極を含む、緩やかな楕円的な世界を意味するであろう。そのように考えることで、本書において、ようやく説話としての『宇治拾遺物語』『宇治大納言物語』をも対象とすることができる。つまり、本書は「表現としての源氏物語」と題しているが、内容からいうと、『竹取物語』『伊勢物語』『源氏物語』『宇治拾遺物語』を、かろうじて「平安京の物語」として捉えることが見通せるのではないかという目論見を隠している。
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