経済社会、ビジネス環境は絶えず進化し、日々、新しい会計事象が出てきている。本書は、実践テキストとして、これらの事象に、本書のレベルで2025年2月までの会計基準の新設・改訂に対応している。
他書と較べた本書の特長は四つある。第一に「アプローチ」である。大抵の簿記書では、貸借対照表を意識して勘定配列により、現金から始め商品・固定資産・負債・資本等々と説明を進めるのが一般的であるが、本書では、章立てからわかるように、企業活動を意識したアプローチを採用している。具体的には、企業の設立(第3章)から始め、企業活動を反映する損益計算書の表示を意識し、本業の商品の売買活動(第5~9章)、支払資金の管理活動(第10章)、本業の売買活動を支える活動(第11・12章)、資金の調達活動(第13章)、本業と直接関わらない余裕資金の運用活動(第14章)、そして決算(第15章)という形で説明を進行させている。
第二に、各章のはじめに、導入の節を設け、その章で学ぶことを鳥瞰するとともに「ワークブック」を設け、簿記の基本的処理を定着できるようにしていることである。さらに章末に練習問題を加え、巻末に錬成問題も設けた。
第三に、納税申告書作成の章である第21章を設け、実践的経理力を習得できるようにし、第四に、発展的経理力の体得のために財務諸表分析の章である第20章を設け、経理応用力の学習法を示したことである。