◆なぜ「タンパク質」が問題なのか
アルツハイマー病が発見されてから120年近く経つものの、いまだ未解明な部分も多く、治療薬は少ない。ただ、ここまでわかってきたことがある。それはアルツハイマー病の発症原因は一つではなく、神経細胞の外と内から呼応するようにタンパク質の変性が起きるということだ。神経細胞の外ではアミロイドβが集まり毒素を出し、内ではタウタンパク質が変性して、神経細胞を死に至らしめる。また発症しやすい遺伝子も特定されており、こちらもタンパク質の異常が契機となる。
なぜタンパク質は変性するのか、変性したタンパク質がどのような機序で神経細胞を死滅させるのか、治療法や治療薬はないのか、その効果は? さらに予防する手立てはあるのか、など…。
多くの人が関心を持つアルツハイマー病について、斯界の第一人者がやさしく解説する。
<目次>
プロローグ アルツハイマー病の患者さんの脳で起きていること
1章 アルツハイマー病はタンパク質が引き起こす病気
――病気で起こる脳と神経の変容
2章 アルツハイマー病 発症原因の一つ
――神経細胞外で起きる「アミロイドβ」蓄積のメカニズム
3章 アルツハイマー病発症原因のもう一つ
――神経細胞内で起きるタウタンパク質の蓄積
4章アルツハイマー病治療の最前線
――検査は困難を極めるが希望はある
5章 日常生活でアルツハイマー病を予防する
――生活習慣病予防がアルツハイマ―病予防につながる