身を投げる無数の窓を振り切って生き延びて今晴れた公園
短歌研究新人賞受賞から13年を経て、待望の第一歌集。321首を収録。
窓によぎるいくつもの憧れを振り切って、ここまで来たんだな、あなたは。
お互いそうやって生き延びてきた。
──山中千瀬
剝き出しの迫力に惹かれ、魂の熱量に感嘆した。
「生き延びて今」は晴天に掲げられたトロフィーだ。
──栗木京子
無力さの中の凄まじい輝き。
〈私〉の前に広がる膨大な未来からの圧が、今ここを永遠に接続しているようだ。
──穂村 弘
【収録歌より】
歯ブラシで排水口をひたすらにこする時の目でなにもかもを見る
浴槽は海に繋がっていません だけどいちばん夜明けに近い
あなただけ方舟に乗せられたなら何度も何度も手を振るからね
二十二で死なずに今日も金星はおもちゃのごとく可愛いひかり
思春期に正しい終わらせ方はないけれどもう壊れたくならないな
装幀=花山周子