船は行く星屑の帆をふくらませまだみぬおとうとらを乗せるため
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星の光が届くころにはもう
その星自体はないというのが本当かどうか私には想像できない。
ただ、私の目に映るその光だけが、
そのいまだけが、ゆるぎない真実だと思う。
(あとがきより)
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2023年夏から2025年春までの短歌363首をおさめる第二歌集。
【歌集より】
どんな名で呼んでもいいよたましいの通り道でしかないからだだよ
芍薬はひとりでひらく 人間として滅びゆくまでたった百年
思い出して あなたがかつて火だったこと美しき骨の駅だったこと
てっぺんの星を飾ってみたかった記憶が凍った窓をひっかく
首のながいチューリップたち春は痩せ抱き寄せたいのにこぼれてしまう
装画=瑞讀
装幀=加藤愛子(オフィスキントン)